1話 受け入れてくれる仕組み
「さあ見てごらん、雪景色だよ」
知佳に言われ、人類と機械たちは外を眺めた。
真っ白なビフィズス菌生命体が、雲の様に薄くなり、真っ白な物質を地上に放出した。
それはまるで雪の様に地上に降り注いだ。
「質問なんだが、何故人類が我が惑星に来たのだ?」
知佳は新体操のボールで、リフティングを始めた。
「めっちゃ上手い」
錬の称賛に、
「人類が好きだった競技だろ?」
知佳はボールを錬にパスをしたが、錬は上手く扱えなかった。
錬はボールを拾うと、知佳に投げた。
「ぼくはしたことないんだ」
「そう」
知佳は足で受け取ると、再びボールはカーブしながら壁に当たって跳ね返り、再び知佳の足元に戻ってきた。
人類と機械たちは、そのボールの美しい動きから、このビフィズス菌生命体が高いレベルの生命体だと、理解した。
「称賛の視線、感謝するよ。再び質問するね。何故人類が我が惑星に来たのだ?」
錬とあゆみと参謀は、沙羅に視線を送った。沙羅は頷くと、
「わたし達が以前住んでいた惑星は、銀河帝国と銀河共和国連邦との間に起きて戦争に巻き込まれて、滅亡に追い込まれました」
「ほう」
「わたしは幼かったので詳細は解りませんが、人類の多くは惑星を脱出し、散り散りになりました。わたしたち以外の人々がどうなったのかは解りません」
「まあ宇宙では種の滅亡何てよくある話だけどね。災難だったね。それで?」
「わたしたちの一団は、故郷であるこの太陽系に戻ることを決心しました」
「確か第三惑星に人類がいた事は知っているが、滅びてはいなかったんだね」
「『故郷にはわたしたちを迎えてくれる仕組みが存在する』と、大人たちには言われました」
「仕組み?」
あゆみは笑うと
「あっそれ俺らかも、なっ」
バイカルは頷いた。
「「えっ」」
驚く沙羅と錬に、あゆみは続けた。
「サイン♪コサイン♪タンジェント♪この太陽系にはその仕組みがあるにはあるのだけども、まあ~そこまで上手くは行ってないんだな、これが、なっ」
再びバイカルが頷いた。
「いやいやいや少年、そんな目で俺を見るなよ」
錬の視線に耐えられなかったあゆみは言った。
つづく