20話 食物連鎖
惑星ヌードルの地上は厚い雲に覆われていた。
その厚い雲の正体は、雲のようなビフィズス菌生命体なのだろう。
「地上を見てみる?」
知佳の言葉に、あゆみと錬が頷くと、宇宙船は雲のようなビフィズス菌生命体の隙間を抜けた。
「それより知佳は大丈夫なの?」
沙羅の問いに、知佳は
「大丈夫だよ。我々はあなた方の味方だ。心配しなくてもいい」
沙羅は安堵の微笑を浮かべた。
宇宙船が高度を下げると、紫色の翼竜が飛んできた。
紫色な翼竜は、宇宙船を見つけると、食いついてきた。
「「あっ!」」
あゆみと錬が叫んだが、翼竜は飛行能力が低いのか、宇宙船は軽く避けれた。
「「おおお!」」
地上では真っ赤な肉食系恐竜が、青色の草食系を追いかけていた。
「我々は・・・」
知佳が言ったにも関わらず、あゆみと錬は地上の恐竜たちを見ていたので、再び
「我々は!」
とあゆみと錬に向って叫んだ。
それでも振り向かないあゆみと錬に、ボールを投げつけた。
「「何?」」
「聞け、人間と機械猫!」
「聞いてあげて」
沙羅が言うと、あゆみと錬は仕方なく、地上を見るのを諦めた。
「我々はこの惑星の食物連鎖の底辺にして、主であるビフィズス菌生命体である」
「「食物連鎖の底辺?」」
あゆみと錬に続き、沙羅も
「食物連鎖の底辺なのに主?」
「そうだが・・・何か?」
参謀は会話に入るべきか少し迷った後、
「宇宙には多様な生態系が存在します。なのでこれもありかと」
「「ふーんそうなんだ」」
沙羅と錬は同時に呟いた。
言葉のリズムも同じな事に、錬はドキドキしたが、沙羅はそうでもなさそうだった。
12章 巨大惑星と原色の恐竜たち 完
13章 ビフィズス菌の思惑へ つづく