4話 「えへ♡」
発電所のホールの天井が爆発崩壊し、
天井からアローン兵が乱射しながら降ってきた。
「馬鹿かこいつら!
本業の俺ら以上の破壊魔じゃねーか!」
アローン兵の意表を突く攻撃に、
デューカの弾幕は、さらに無難を極めた。
「無難最高ー!」
その発言は、反乱軍として相応しいのか?
むしろ制圧する側の方が向いているのではないのか?
そんな意見も聞かれる、デューカの無難な弾幕の前に、
アローン兵の英雄的行為は、制圧されていく。
「あれ?」
デューカの呟きの後、第1ホールは静けさに包まれた。
「え?」
無難な弾幕の音は消え、ソフィーも銃撃を止めた。
アローン兵が動きを止めたのだ。
多分、アローン兵は、ソフィーの姿を確認して、
動きを止めたらしい。
「お前・・・なんか凄いな」って目でデューカは、
ソフィーを見た。
ソフィーは、「えへ♡」とか言ってる状況じゃないので、
デユーカを無視して、アローン兵を見つめた。
「・・・」デューカは意味なく、頷いた。
第1ゲート前のホールにも、
警備兵の射撃の音が徐々に近づいて来た。
「ソフィー、俺達も撤退しようぜ。」
ソフィーは、目の前で、
遊園地のアトラクションの様に動きを止めている、
黒い装甲のアローン兵をじっと睨んだ。
アローン兵から何かの意思を読み取ろうとしたが、
意思を持たないアローン兵からは、
何も読み取ることは出来なかった。
「デューカ、撤退信号を出せ!」
発電所内に、一般的なアンドロイドには聞こえない、
非可聴周波数の汽笛の様な音が鳴り響いた。
デューカは
「気分の悪い音だ。」
と言うと殿部隊を招集した。
敗走するソフィー達に、警備兵は容赦のない攻撃を加えてきた。
デューカが指揮する、
三手に別れた殿部隊の反撃の間をぬって、
反乱軍の主力部隊は、森の中に駆け込んだ。
ソフィーが森の影に身を潜めていると、
第4ゲートから敗走してきたニナが、ソフィーの元に駆け込んできた。
ニナの右手は粉々に砕け散っていた。
「どう言う事!アロちゃん達は味方じゃなかったの?」
「ごめん・・・」
ニナの背後で発電所が、
オレンジ色の炎を上げて爆発を起こした。
ソフィーは、慌てるニナをかばいながら地面にせた。
つづく