表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『遠い星の話』  作者: 五木史人
2章 退化する世界の中で・・・
23/251

3話 理不尽な返し・・・

「・・・ソフィー!こちら第4ゲート、


アローン兵(特殊機械兵)に阻まれて、突入できない。


アローン は味方じゃなかったのかよ?」




古びた無線機が、不穏な音色を奏でている様だった。



「・・・裏切られた?」



積み上げた足場が脆く壊れて行くような感覚に、


ソフィーの左腕が小刻みにカタカタと震えた。


機械なのに・・・



この現状、ソフィーが人間だったら、嫌な汗を流したに違いない。


その代わりに、ソフィーは手を組み、心を落ち着かせようとした。





「第3ゲート、アローンに襲われている。


話が違うぞ!これ以上持ちこたえられない。撤退する。」

と再び無線が入った。



「ちょっと待って・・・。」


「これ以上犠牲は出せない。」


「え・・・うん・・・そう・・だよね・・・」


ソフィーは、誰にも聞こえないように呟いた。



機関銃で激しい弾幕を張るデューカには、


その弱気な表情だけが見えた。



「俺達は、完全にコーリーに騙されたんだ。


おい・・・銀髪・・・・あれ?銀髪がいない!?


ソフィー、銀色の奴がいないぞ!


逃げやがった。俺達は、はめられたんだ。


このままじゃ俺達全滅だ。」




デューカは、道化師の様に慌てふためいた。


人間だった時から、おどけた奴だったけど、


それは機械になったとしても消せないらしい。



デューカの放つ弾幕が悲鳴を上げているように思えた。


道化のおどけた悲鳴・・・


その音は、コミカルでだが、悲哀に満ちていた。


デューカは、男泣きをしながら、


「俺が・・・俺がお前を守るから!


絶対にお前だけは俺が守るから!」


機関銃の弾幕に負けない声で叫んだ。




「デューカ・・・そのテンション、ちょっとウザい。


今、欲しいのは、そう言うんじゃないんだ」



「えええええええ!」


理不尽な返しに、デューカは乙女の様に泣いた。



ソフィーはちょっと笑った。



暗雲とした心の曇りが晴れたソフィーは、


「さて・・・。」


と呟くと、拳を握りしめた。



思考回路の処理装置が熱を帯び、


けたたましく回転を始めたような気がした。





つづく



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ