6話 神の怒りの様な爆音
ブリッジにスクリーンには、作戦図が映しだされていた。
踊っていた知佳も立ち止まり、錬と伴にそのスクリーンを見つめた。
「沙羅さま、作戦の許可を?」
参謀兵は沙羅に聞いた。
目の前の惑星ヌードルには、巨大な活火山が見えた。
現時点では、僅かに煙を出しているだけだ。
推定火山流量が、提示されたが、それがどれほどの数字なのかは、沙羅には解らなかった。
沙羅はチラッと操縦桿を見た。
宇宙船の操縦桿は、すでにアローン兵が握っている。
操縦桿は錬に握っていて欲しかったが、所詮素人だ。
「大気圏を出た後に?」
「はい」
沙羅は知佳と錬と視線を交わした後、
「任せる」
と告げた。
機械の参謀兵の表情から何も読み取れなかった。
沙羅はじっと目を閉じ、安全を祈った。
大気圏の圧が少しずつ弱まって行くのが解った。
包囲しつつある敵の人型兵器も、宇宙船の確保に距離を修正しつつある。
沙羅の隣で参謀兵が小さな声で、
「発射だ」
と呟いた。
宇宙船内に残されたミサイルが、活火山に向かって突き進んだ。
☆彡
「おい!奴ら何か打ち込んだぞ!火山だ!火山を噴火させるきだ!」
スタージョンの声に、アヤカの思考回路は焦った。
「そんな事が可能なのか?あの火山に関す情報がないのか!」
「これは!俺らにはアクセス権限はないらしい」
「アクセス権限がない?あいつ等にはあるって事か!」
「まだ半数は大気圏突入中だ!どうする?」
「作戦変更!現段階での人類の捕獲は中止。各自火砕流進行方向から退避を優先しろ!」
☆彡
巨大な火口にミサイルが吸い込まれて行った直後、神の怒りの様な爆音が響き、見た事がない巨大な火砕流が吹きあがった。準惑星位なら呑み込む位の大きさだ。
ブリッジのスクリーンが真っ赤に染まっていた。
「めっちゃスレスレ飛行じゃん、スリリングだぜ♪」
知佳は可愛い声で言ったが、沙羅と錬は恐怖から動きを止めていた。
「大丈夫、これなら死ぬときは一瞬、苦しまずに死ねるはず」
沙羅の横で、縁起でもない事を錬は呟いていた。
火砕流と伴に舞いあがった噴煙で、宇宙船の視界はゼロに成った。
知佳は「キャハ」と喜ぶと、リボンを宙に投げ舞った。
その周りを何もすることがないアローン兵たちも、一緒に舞っていた。
沙羅はどうにか言葉を出そうと、錬に話しかけた。
「どう言う神経してんだろう」
「こいつらには死の概念がないのかも」
ガガ!
宇宙船に何かがぶつかる音と衝撃が走った。
かなりヤバい音だ。
つづく