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『遠い星の話』  作者: 五木史人
11章 ファンファーレが鳴る中
221/251

19話 【自爆】の可能性


宇宙船のブリッジのスクリーンに、追尾してくる艦隊が映った。


惑星ヌードルまで、隠れる場所なんで存在しない。




「どう見ても、ヌードルに着く前に追いつかれそうじゃない?」


知佳の問いに参謀兵が


「そのようですね」


と冷静に答えた。




パトロール艦3隻と違って、追尾艦隊は規模が違った。




「勝てそうなの?」


「ヌードルに到達して、ゲリラ戦的な戦いをすれば、生存の可能性はあります」


「ヌードルに到達できそうなの?」


「あの速度だと、可能性はゼロに近いですね」


「降伏したら竜族に引き渡されるけど」


「残念です」


「竜族に引き渡される場合は自爆するけど、君たちは脱出しても良いよ」


「お供します」


参謀兵は冷静に言った。


アローン兵の参謀兵は、精鋭らしく精悍な表情に見えた。




「そう・・・ありがと」




知佳の12歳の女の子の会話とも思えない会話に、14歳の沙羅は心を痛めた。




【自爆】の言葉に、ちょうどブリッジに入ってきた論は、少しだけ動きを止めた。


錬の弟の論は、知佳と同じ12歳の少年。


少年は小さく溜息を着いた。


竜族に引き渡される場合【自爆】させる事は、聞いていたし、覚悟も決めていた。




「兄ちゃん、倉庫の奥にカップ麺を見つけたよ」


「論、出かしたぞ」




錬の弟の論は、宇宙船ブリッジ内でカップ麺を作りだした。


引きこもりのゲーマーの錬と違い、弟の論は、いつの間にか食料担当になっていた。




論はブリッジに食事用の簡易テーブルを組み立てた。




「えっまだカップラーメンが在ったの?」


参謀兵とスクリーンを見ていた知佳が、振り向き論と目を合わした。


同じ年齢の子同士、何げに意識してしまうのは、仕方ない事だ。




知佳と論は、視線を合わしたが、すぐに外した。


この状況で、好きとか嫌いとか言ってる場合じゃない事は、2人とも良く知っている。




「種類は早い物勝だよ」




「あたしは焼きそばが良い!ああああああ!ちょっと錬!」


「早い物勝だろ」


「ちょっとよこしなさいよ。紳士はレディーファーストでしょう!」


「紳士ちゃうし!」




じゃれ合う兄・錬と知佳の様子を、論はじっと見つめた。




ああいう風になりたい





つづく

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