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『遠い星の話』  作者: 五木史人
11章 ファンファーレが鳴る中
218/251

16話 こちら144機動艦隊、入港を希望する!



機械猫の準惑星に向かっている艦隊とは別に、人類の宇宙船へ向けた先遣隊が確認できた。



「やはりな、せめて機動艦隊の本体だけでも・・・」



機械ネズミは、人類を守ってやれず、追い出してしまった後ろめたさから、少しでも時間稼ぎをと思ったのだが、宇宙機動艦隊が目の前に現れると、ビビってしまった。



あゆみとバイカルが一緒に居てくれれば、気は紛れたはずだ。



機械猫の準惑星を、宇宙機動艦隊が緩やかに包囲し始めた。



「緩やかに・・・」


機械ネズミは呟いた。



緩やかにと言う事は、宇宙機動艦隊の人類への接触が、まだ強行的ではない事を示しているのか、この古代遺跡の準惑星に対する配慮なのかは不明だ。



「しかし、たった一隻の宇宙船に宇宙機動艦隊がお出ましとは」



『こちら144機動艦隊、入港を希望する!』


管制室に兵士らしい声が響いた。



その通信が届いたのは、すでに8回をカウントしている。


未だ、宇宙港のゲートは閉じたままだ。



有機生命体だったら、冷や汗が流れまくるだろう。



とりあえず機械ネズミは、ゲートを閉じたままの言い訳を考えた。


あゆみとバイカルなら、それなりの気の利いた真実めいた嘘を思いつくはずだが、生真面目な機械ネズミに、そんなスキルはなかった。



『こちら144機動艦隊、入港を希望する!』



9回目の通信が入った。次は10回目。


宇宙機動艦隊の艦隊司令官は、人類よりだとしても、艦隊司令として限界だろう。



「もう良いだろう。ネズミなの頑張ったよね、俺」


機械ネズミは呟くと。



「こちら管制室、貴艦の入港を許可する」



『迅速な入港許可に感謝する』


将校を思わせる硬い声がした。



「迅速な・・・」



宇宙港ゲートへ、宇宙巡洋艦がゆっくりと入港した。



機械ネズミはその様子をじっと眺めた。



入港すると宇宙巡洋艦から、将校たちが降りてきた。


入港に合わせて各所で、シュガーコートが安っぽい動きで、作業に当たっていた。


精鋭と思われる将校たちは、その安っぽい動きに「やれやれ」って表情だ。



「成功だ」



さらに司令官タイプ役のシュガーコートが、管制室に入ってきた。


安っぽさ全開だ!



「問題ない」



機械ネズミは、管制司令官の席を、司令官タイプのシュガーコートに譲り、自分はまるでペットの玩具のような椅子に座った。



「完璧だ!」


そして、


「ちゅう、ちゅう」


と鳴いて見た。



「完璧だ!」



さらにシュガーコートによる楽団が、準備を始めていた。





つづく


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