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『遠い星の話』  作者: 五木史人
11章 ファンファーレが鳴る中
211/251

9話 機械ネコ、嫉妬する



宇宙船内の錬たちは、解放されたみたいだ。


「やれやれ」


錬の呟く声が聞こえた。



『やれやれ』錬の兄、らんの口癖だった。


沙羅の心に錬の兄の顔が浮かんだ。



らん会いたい」


小さく呟くと、抱きしめてるあゆみと目が合った。


沙羅があゆみを撫でると、あゆみは視線を外した。




>藍って誰だよ!


>俺と言う猫が居ながら、この人類は!(爆汗)



そこへ本物の猫の白猫と黒猫が、沙羅の元に駆け寄ってきた。



「あらここに居たの♪」



あゆみが見上げる沙羅は、すっごく嬉しそうに答えた。



>もしかして俺を降ろして、本物を猫を抱っこするとか?



あゆみは激しく嫉妬の炎を燃やしそうになったが、白猫と黒猫はバイカルとバイカルに跨る知佳に興味津々だった。



>そう言えば、生猫はバイカルと親しかった。ナイスバイカルだ(歓喜)




「これをご覧下さい」


機械ネズミは、これでもかってくらい知的そうに言った。



>お前、自分の名前を忘れてしまった事も、解らないくせにさ。




管制室のスクリーンには、この惑星の周辺の宙域が映し出された。


人類が撃破した評議会側の戦闘艦の破片が、映し出された。



「現在、我々は危機的な状況にあります」



>人類が敵を撃破して逃げ込んだせいで、


>機械猫要塞の居場所を、敵に知られてしまった。



その事実を機械ネズミは言わなかったが、沙羅は理解したような表情をした。



「さらに」


機械ネズミが言うと、スクリーンに宇宙機動艦隊が映った。



「我々に、この規模の艦隊と対峙する戦力はありません」


機械ネズミは、そう続けた。



「我々はあなた方人類を欲していました。なのにあなた方を守る事が出来ません」



管制室内は静まり返った。


いつもは騒がしい機械ネコたちも、静まり返っていた。



沙羅はそんな機械ネコたちを見回してから、


「解りました」



知佳は、くるりとこん棒を回した。


そのこん棒に、機械ネコたちの視線が集まった。


「何とかなるんじゃないの、ねっ寅くん」


と知佳はバイカルの頭を撫でた。



期待されたバイカル満更でもない顔をした。


白虎のバイカルがそんな顔をしたもんだから、なんとなく大丈夫な雰囲気が管制室に流れた。



>策はあるのか?


あゆみがそんな視線を送ると、バイカルは微笑んだ。


>あっお前、それ何の策もない顔じゃん



そんなバイカルに跨る知佳が


「ここを出よう!そう言う事でしょう」



機械ネコたちは、気まずそうな目を逸らした。



「怒ってる訳じゃないよ。この基地はあたし達にとっても大切な場所になるはずだから。あたしたちも守りたい!それだけだよ。ねっ沙羅」


「そうね」


「さっ寅くん、宇宙船に向かって走って!」



知佳に言われ、バイカルは人類の宇宙船に向かって疾走した。


あゆみを抱いた沙羅も、その後を追った。





つづく


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