7話 どん、どん、どん、どん、どん・・・
シュガーコートは、何も話すことなく、1分が過ぎた。
どこか遠くの場所から遠隔操作されているのだろう。
そんな間だ。
暇なのかバイカルは知佳に背に乗るように託した。
「えっマジ?」
知佳は、白虎のバイカルに跨ると、バイカルは尻尾を振り、歩き出した。
「おお!かっこええぇぇ!」
知佳は感嘆の声を上げた。
知佳を乗せたバイカルが飛び跳ねるその横で、ポンコツそうなシュガーコート型アンドロイドは、話し始めた。
「・・・そうか、それでは話を戻そう。この銀河で一番最初に帝国を築いたのは、タコ系生物とイカ系生物だった」
「話は戻そうって?今、話し始めたばかりじゃん」
「通信が遮断されてたのかも」
広大な宇宙空間では良くあることだ。
シュガーコートは構わず話し始めた。
「この銀河系の相克は、タコ系とイカ系の相克に基づくものだ」
白虎バイカルに跨る知佳が、
「タコが?聞いた事がある。クトゥルフ神話だったような」
「人類のお嬢さんは賢いな、あれはフィクションだが、まあそれに近い」
ポンコツ感いっぱいのアンドロイドに言われると、少し微妙だったが、
「ありがと」
知佳は素直に喜んだ。
「タコとイカの相克、その歴史は遠い過去に封印されて、今知る者は少ない。
だが、この銀河の相克の奥に、その事実が潜んでいると想定すると、闇に潜む真実が見えてくる物だ。覚えて置くと良い。人類よ」
シュガーコートはそう言うと、再び、動きを止めた。
またリセットされたのだろう。そして、1分後、
「なぜ本物の人類と白虎がいるのですか?」
声質が【我々】じゃないほうのシュガーコートの声質に変わっていた。
人類と白虎の視線を受けシュガーコートは、
「ここは博物館か動物園ですか?」
と言葉を続けた。
人類と白虎を前に【博物館】と【動物園】と言うワードは、失礼に当たるかも知れない。と気づいたのか、シュガーコートの表情は困惑し、バグった。
「どん、どん、どん、どん、どん・・・」
「あっバグった」
それがバグだと言う事は、沙羅と知佳にも解った。
「どん、どん、どん、どん、どん・・・」
その止まらない声を聴きながら、沙羅に抱かれたあゆみは大昔に聞いた噂話を思い出した。
>【本物の人類は、アンドロイド社会にとって死神となる】
>優しい香りがする人類。
>この優しい香りの人類が、死神に?
>情報としては信頼度の低い情報だったけど。
>なぜ今思い出したのだろう?
>この人たちが【本物の人類】なら、アンドロイドは【偽物の人類】なのか?
「どん、どん、どん、どん、どん・・・」
>うるさいな。
あゆみは再びシュガーコートの鼻を押して、リセットさせた。
つづく




