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『遠い星の話』  作者: 五木史人
11章 ファンファーレが鳴る中
206/251

4話 人類の少女の胸に抱かれながら。



「白虎が案内してそう、着いて行って見よう」


知佳の言葉に、沙羅も従った。



人類の2人の少女の前を、バイカルが歩いて先導した。


あゆみは、人間の少女に抱っこされながら、管制室に向かった。


廊下に集まってきた機械猫たちが、あゆみを見上げた。



「あゆみが人質?」


「あゆみが人類を説得した?」



状況が掴めない機械猫たちは、遠巻きに一行を見つめた。



その中には羨望の眼差しを送る者たちもいた。



「人類に抱っこされてるけど」


「人類に抱っこされれるだと!?」


「なんて事だ!」


「いいな~」



そんな声が聞こえて来そうな視線を、あゆみは受けた。



>まあまあ。



あゆみが声が出れば説明できるのだが、今は無理だった。


バイカルはほぼ小声でしか話さないし。



あゆみとバイカルと人類の進み道は、自然に開いた。



とりあえず、管制室にいるシュガーコートが、なんか説明してくれるだろう。


愛想が良いアンドロイドだし。



廊下の両側が水槽になっているエリアに入った。



「沙羅、見て見て、イルカがいっぱい!」


「ホントだ!可愛い~」



沙羅と知佳が手を振ると、水槽の中のイルカたちも手を振りかえした。


イルカたちも人間の少女に抱っこされているあゆみが、羨ましいらしい。



あゆみは、自慢げにイルカたちに手を振った。



>それにしても人類の少女に抱きしめられるのは心地が良い。


>いい匂いがする~


>このままこの少女のペットに成りたいくらいだ。


>なっ



バイカルに視線を送ると、


『それも悪くないな』


と小声で呟いた。




バイカルの横を歩く知佳が、バイカルの頭を撫でた。


バイカルは今まで見た事がない程、照れた。



バイカルのハードボイルドな面しか見た事がなかったあゆみが、始めて見た表情だ。


バイカルは元々動物園で飼われていた白虎だ。


5000年前の事だが、人間慣れはしているはずだ。



知佳に撫でられるバイカルから、覇気が消えていた。



そのバイカルの表情に、機械猫たちも驚いた。



「あの白虎のバイカルが!」


「嘆かわしい」


「こうも簡単に人類に懐柔されるとは!」



そんな声が聞こえてきたが、バイカルに気にする様子はなかった。


それは、あゆみと5000年の付き合いで、初めて見せた白虎バイカルの本性だった。





つづく


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