3話 銀河連邦軍機動艦隊の旗艦
>俺は!俺は!可愛い猫なので人間の少女に抱き着いて見る!
あゆみが抱き着くと、人類のリーダーの少女は、抱き返してくれた。
>!!!!!!!
>人間の匂いがする。
>ずっと忘れていた。人間の匂い。
>柔らかく温かい。
>これが人間・・だったのか?
>懐かしい。
>5000年経っても覚えているもんだな。
>5000年間、この猫の機体の中で生きてきたけど。
>そうだ、俺も人間だったんだ。
>遠い昔。
>あっそうだ。
>思いだした!
人間の少女の息の音がした。
>そうだ、息をしていたんだ!俺だって!
人間の少女の胸に抱きしめられ、人間の少女の心臓の音を感じた。
>心臓が動いてるじゃん。ホントに生きてるんだ!
>なんだろう?
>泣きたくなる。
>俺も生きたい。
>俺は生きてるの?
>この人類は生と死を繰り返して、今に至る。
>俺たちアンドロイドは、更新を続けて、今に至る。
>この二つの出会いは、何を意味するんだろう?
「ねえねえ、あたしもの抱っこさせて!」
こん棒を持った少女は言うと、リーダーの少女から俺を奪った。
>!!!
>ガキの匂いがする!
>人間のガキの匂いを嗅いだのも、5000年ぶりだか・・・
>そう!俺、ガキは嫌い!
あゆみは、こん棒少女から脱出して、リーダーの少女の胸に飛び込んだ。
「ええええええ!何で!」
こん棒少女は叫んだ。
>凶暴少女よ!
>俺にだって好き嫌いはある!
>そうだ!この子を管制室に行かせなくては!
>どうしよう?
バイカルを見ると、なにかボソボソと声を出している。
>まあ、こいつに任せよう。
とあゆみは何もすることなく、少女に抱かれた。
バイカルは小声ながらも、ジェスチャーで人類たちを誘導しようとした。
そのジェスチャーに、こん棒少女が、
「沙羅!なんかあっちに来いって言ってそうだよ」
バイカルのむちゃくちゃなジェスチャーを理解出来たのは凄い。
何万光年も距離や時代や文明が違えば、ジェスチャーも意味不明になると言うのに。
きっとこん棒少女とバイカルは、相性が良いのだろう。
☆彡
銀河連邦軍機動艦隊の旗艦の将校用の自室で、人型生命体の藍は、宇宙空間に輝く銀河帝国軍の戦闘艦を見つめていた。
その戦闘艦は旗艦の横を擦れ擦れで飛行していた。
下手すると衝突しかねない距離だ。
現在、銀河連邦と銀河帝国は戦争状態ではない。
ゆえに攻撃の可能性は低いが、ここは最前線。
何が起こるかは解らない。
人型生命体の藍は、溜息を着くと、机の上の写真立てを見た。
凛と琉錬論の、妹たちと弟たちが写っていた。
「きっと、みんな生きてるよね」
藍は呟いた。
つづく