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『遠い星の話』  作者: 五木史人
11章 ファンファーレが鳴る中
204/251

2話 本物の猫のように・・・

白虎のバイカルに対して、こん棒を持った少女は、ひらりと舞い叫んだ。


「上等だ!」



弱そうな人間の少女が虎型アンドロイドのバイカルに対して、挑んだのは大した度胸だ。命知らずの馬鹿とも言うが。



まるで弱そうな人類の少女に対して、バイカルのアンドロイドの目に、躊躇が浮かんだ。



『どうする?』


バイカルに問われたとしても、あゆみは声が出ない。



戸惑うあゆみとバイカルは、同時に1人の人間の少女を見つめた。


交渉相手の人類のリーダーだ。



その視線の意味を察した人類のリーダーは、


「知佳、止めて!」


その声がその場に響いた。


透き通った良い声だ。



その声に、知佳と呼ばれる少女は動きを止めた。


さすがだ。



>素晴らしい。


あゆみは、声の代わりに拍手を送った。



声が出ないあゆみの代わりに、バイカルが、


『人類の皆さん、ようこそ』


と小声で囁いた。



当然、人類の皆さんには聞こえない。



>あっこいつ、人類を前にして人見知りしてる。


>そうだ!バイカルは5000年前の動物園時代は、人間に対して人見知りしていたって言ってたっけ。人気ナンバー1の白虎だったのに。注目されればされる程、固まってしまう。



>5000年ぶりの人類に対して、その記憶が甦ってしまったのか?


>こんな時に!



「えっ何?」


遠慮を知らなさそうな新体操娘が、バイカルの顔を覗きこみながら尋ねた。



『えーと』


「ん?なに?」


新体操娘は、さらにバイカルの顔を注視した。




>やばいバイカルがショートしそうだ!俺、声でないし・・・


>どうする俺?


>そうだ!俺は可愛い可愛い猫ちゃんだったんだ!


>甘えればいいんだ!


>甘えて、シュガーコートの居る管理室まで誘えば良い!


>甘える・・・こん棒女子はちょっと怖いし、交渉相手たるリーダーの少女だな



通常の猫サイズのあゆみは、人類のリーダーの少女を見上げた。



>人類の少女に甘える。


>俺は可愛い可愛い機械猫なのに、緊張してきた・・・


>そうだ、本物の猫のように甘えればいいのだ。


>しかし、なんて美しい少女だ。



「ん?」


人類の少女はしゃがんで、俺と目線を合わせた。



>うっわーーーーーーめっちゃ人類じゃん!


>めっちゃ生きてるやん!


>生きるってのは、こういう事だったんだ!



そしてあゆみは、抱きかかえられた。



>おおおおおおお!



バイカルが羨ましそうに、俺を見ていた。



>ふふふ




つづく




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