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『遠い星の話』  作者: 五木史人
10章 時の記憶
202/251

20話 異なる生命体同士の同盟

この状況に飽きて踊りだすあゆみとバイカルを、横目に機械ネズミは、調印書に目を通した。



「それなのに、銀河連邦はこの太陽系に関与しないと?」


機械ネズミの問いに、青銅の生き物は少しだけ時間を空けて、


「銀河連邦元老院の一部は、この太陽系のアンドロイドたちの背後に、銀河帝国の影を感じているのでしょう」



この太陽系は、銀河系の辺境に位置する。


ゆえに連邦と帝国の影響は少ないと、機械ネズミは考えていたのだが、意外な展開に、今度は機械ネズミが、少しだけ時間を置いた。



何かの争いに巻き込まれたのか?



機械ネズミは考えて見たが、5000年も前だし、銀河連邦や銀河帝国の情報はないに等しい。



銀河連邦と銀河帝国の何らかの抗争に巻き込まれて、1つの太陽系の文明が滅ぼされる事は、ない話ではない。



機械ネズミが青銅の生き物に視線を送ると、彼は話し始めた。


「ゆえに異なる生命体同士の同盟は、この銀河を生きる上で必須と言えるでしょう」



調印書には【義勇軍】と記されていた。


「義勇軍?」


「そうです。あなたがたとの同盟を、銀河連邦としては推奨しない。しかし、反対もしないと言う立場です」



秘密結社のサイン・コサイン・タンジェント。


若干、ふざけた名前の組織と同盟を結ぶ。


機械ネズミには、想定外の事が多すぎて、思考が及ばない。



青銅の生き物は、万年筆を機械ネズミに渡した。



この同盟を自分が決めて良いのか?



秘密結社のサイン・コサイン・タンジェントの幹部である機械ネズミには、その権限がある。



秘密結社のサイン・コサイン・タンジェントは、トップダウンではなく、スタンド・アローン・コンプレックスな組織だ。



機械ネズミは考えた。



義勇軍と言う不安定な存在との同盟を、自分が決めて良いのか?




少なくともあの苔玉星人にしろイルカにしろ、悪意は感じない。


「そうですね」


機械ネズミは、自分自身に言い聞かせた後、調印書にサインをした。



その横で、機械猫たちは、水槽のイルカたちを眺めていた。




10章 時の記憶 完



11章へ つづく




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