15話 強い水圧の中で、相方を想う時
陸上らしき物。
陸上らしき物との間には、強化ガラスで隔たれていた。
まるで水族館の魚になった気分だ。
シュガーコートが、再会を喜んで無邪気に手を振っていた。
『こいつ、アンドロイドにとって水圧が危険な事を知らないらしい』
「さすが最安値のシュガーコートだ」
機械ネズミの潜水タイプに変形したペガサス号に、シュガーコートは大喜びだ。
水族館の客席側には、青銅の生き物が深謀遠慮な表情で、こちらの様子を伺っていた。
その深謀遠慮な表情は、絵になるほどカッコ良かったが!
「カッコいいけど!こっちは、それどころじゃないんですけど!」
青銅の生き物は、静かに歩いた。
そのもの静かな歩き方は、とても洗練されていた。
『違う!この青銅の生き物は、深謀遠慮な自分に酔っている。きっとこいつ鏡の前でかなり練習していたに違いない!』
バイカルの推理に、あゆみもそんな風味思えてきた。
「歩いてないで、さっさと開けろよ!こっちは記憶回路がやられそうなんだ!」
あゆみの切羽詰まって表情が伝わったのか、青銅の生き物は、水槽に内部に繋がる小部屋に入った。そして、こっちに来るように手招きをした。きっと水圧調整室の類だろう。
「なんだろう、これ?思考回路内にアラームが鳴ってるんだけど・・・」
あゆみの言葉に、バイカルは急いであゆみの腕を握った。
「頼りになる相方だぜ・・・・」
水圧調整室のドアが開き、あゆみとバイカルとペガサス号は、飛び込んだ。
青銅の生き物は、
「お待たせ致しました」
と丁寧に言ったが!
『お前!遅いんでよ!』
大音量バージョンのバイカルの声が響いた。
大音量バージョンを聞くのは、何十年ぶりだろう。
しかい【遅いんでよ】って、若干エラーが出たが、大音量なのはかなりの快挙だ。
『おい!あゆみ!大丈夫か!』
大音量のまま、あゆみに問いかけた。
問いかけ続けて数分後、あゆみは動き出すと、
「あれ?何だろう、この身体は?」
『えっ?』
つづく