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『遠い星の話』  作者: 五木史人
1章 黄昏の始まり
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19話 『銀髪にしたら私の全てをあ・げ・る』

「仕方ない・・・」


コーリーは、呟くとアレム神父の後を追った。



「博士、俺はどうしましょう?」


銀髪のアンドロイドは、


どうでも良さそうに、コーリーの後姿に問いかけた。



「お前は、発電所制圧に参加しろ。」



「へーい」




やる気のない声で、銀髪は返事した。

そんな銀髪のアンドロイドに、ソフィーは声を掛けた。



「久しぶりね」



「お前になんか会いたくなかったけどね。腐れ縁って奴?」



「気が合うね。私もあんたなんかには会いたくなかった。


相変わらず銀髪も似合ってないし・・。」



「ひどいね~、


お前が『銀髪にしたら私の全てをあ・げ・る』って言ったからしたのに」



「それはさ~、あなたが可愛い美少女アンドロイドだった時の話でしょう。


何!そのごっつい機体は!声も変えたし!幻滅だよ。もう愛でれない・・・」


「俺は俺だろ!」







コーリーは急ぎ足で歩く、アレムに急いで駆け寄った。



「神父、これからどこへ行かれる気ですか?」


「教会だ。教会に帰ってゆっくり今後の事を考える。」


「教会に帰っても、あなたはすぐに評議会に引き渡されます。


そんな事も解らないのですか。


とりあえず、私の話を聞いてください。時間は取らせません。


神父様ともあろうお方が、


迷える子羊である我々の話をお断りになるのですか?」


「この期に及んで、私を神父扱いですか」



「呆れます。呆れすぎて失笑です」



「失笑?!」



「迷える子羊を救うなど、教会にとって建前に過ぎない。


実際、誰も救えない。整備屋の方がずっと救いますよ。


善意の神父を装い、教義を押し付け、寄付を巻き上げ、


権力を維持する。


そして、機械に過ぎないアンドロイドが、神を信じるなど、と嘲笑う。


そんな神父ですか」




もし、大衆に慕われる神父のままであったなら、


激しく叱責したはずだ。


それは体制を守る立場として染みついた習慣だ。




コーリーがアレムの腕を掴んだが、アレムは振り払わなかった。



「神父、反論なされないのですか?」



「・・・」



「機械たちの偽りの善意、偽りの教義、偽りの神、


そんな偽りの世界があなたの居場所ですか?


解りますよ。あなた方は、


人類との接触によってもたらされる変化を恐れている」





つづく


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