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『遠い星の話』  作者: 五木史人
10章 時の記憶
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5話 ロンリテキナ・・・ショーコ

『やたらカッコつけてたいのは、太陽風が強すぎるかも知れない』


とバイカルは、カッコつけながら言った。



「太陽風な」


あゆみもそんな気分で、鏡のような大地を歩き出した。



「太陽風か・・・」


と機械ネズミもその雰囲気に流されそうになったが、すぐに冷静さを取り戻した。


ネズミは冷静沈着であるべきなのだ。



ペガサス号の無線機からは、まだ風が吹いているような音が聞こえていた。



「電波の発生源はこの辺りだ!この地下に何かがあるんだ!」


機械ネズミは、そう言ったが機械猫たちは聞いちゃいない。


「お前ら、何しに来たんだよ!」


「アルバムさん、折角だからから上空から写真撮ってくれよ」


「お前らなぁ、遊びじゃないんだぞ!」


『本部にさ、俺たちがちゃんとやってるって報告した方が良いだろう』



アルバムはいつしか小声で話すバイカルの言っていることが、予想できるようになっていた。



「報告か・・・まあ、そうだな」


アルバムさんは、ペガサス号を上昇させた。



『報告とか建前があると、アルバムさんはやる気を出す』


「チョロイな」


地上でのバイカルとあゆみの声が聞こえた。



アルバムさんは、むっとしたが相手は機械猫。


相手にしてもしょうがない。



カメラを機械猫たちに合わせると、シャッターをきった。


まあまあな出来だ。



上空から地上を見下ろすと、少しだけ光の加減が違う場所があった。


「あれか?」



ペガサス号をその場所に着陸させた。



「何かあったのか?」


あゆみとバイカルが駆け寄って来た。


さすが猫、好奇心は強いようだ。



好奇心いっぱいの機械猫たちに、機械ネズミは、


「この下に何かある」


と得意げに告げた。



あゆみは鏡のような地上を、指で静かに撫でた。そして、


「なるほど、そう言う事か!」


何かを理解した様に呟いた。



『なんだ?』


「あの猫だ」


『猫?生き物の?』


「ああ、あの猫がIDでありパスワードなんだ」



機械猫たちの会話に、機械ネズミは、


「猫?その根拠は?」


と根拠を欲しがった。あゆみは、


「根拠?根拠ってなんだ?」


「あの猫がIDでありパスワードである論理的な証拠だよ」



「ロンリテキナ・・・ショーコ・・・エート・・・エート・・・ロンリテキ」



そして、あゆみの動きが止った。



『あゆみやめろ!思考回路がショートするぞ!あゆみ、すぐににゃーにゃーにゃーと唱えて、猫らしさを取り戻すんだ!』


「・・・にゃーにゃーにゃー・・・」


「あぶねえぇ、ショートする所だったぜ」


『アルバムさんよ!危ない事させんなよ!お前には常識ってもんがないのか!』



「・・・ああ・・・ごめん・・・(そんな常識知らないわ!)」



多分、この機械猫たちは、思考回路を違法な改造をし続けた結果、そんな思考回路になってしまったのだろう。


彼らは機械の人から、機械の猫に、進化し続けている。自らの意思で。


機械ネズミのアルバムさんは、そう結論づけた。



5000年もあれば、変わっていく。


人であったのは遠い昔の話だ。


それぞれ、人ではない者へと、進化し続けているのだ。



さよなら、わたしの中の人類。


機械ネズミは黄昏た。



『おい見て見ろ、ネズミがなんか黄昏てるぞ』


「うける」




つづく




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