3話 猫とネズミと優しいシュガーコートさん
機械猫と機械ネズミが、宇宙船にはいると、パイロットのシュガーコートが目を覚ました。
「はっ!アルバムさん、お久しぶりです!」
起動したシュガーコートは、機械ネズミのアルバムを見つけると
「お会いしとうございました!」
と駆け寄った。
アルバムさんは、ペガサス号から飛び降りて、シュガーコートに抱き着いた。
「俺も会いたかったよ!やっぱシュガーコートは優しい奴らばかりだよ」
そして「これが愛だ!」と、あゆみとバイカルに視線を送った。
あゆみはバイカルに、
「俺さぁ機械の猫だからって訳じゃないけど、ネズミを餌としか思えない設定なのかもしれない」
『それな・・・』
あゆみとバイカルは、そんな目で機械ネズミのアルバムさんを見返した。
「お前ら、なんやねん!仲間だろ俺たち!」
「そう言った意味でな」
『安心しな、俺たちは機械だから、お前を食べたりしないから』
あゆみは、シュガーコートに抱き着くアルバムさんの頭を撫でてみた。
「なんか寒気がするわ」
「ささ、皆さん行きますよ」
久しぶりに起動したシュガーコートは、機嫌良く声を掛けた。
宇宙船は静かに時計の星に向けて出港した。
ダラダラした生活から抜け、冒険の始まりに、機械の心だがドキドキしているような気がした。
『なあ評議会の連中がいたらどうする?』
「逆に助けを求めるってのはどうだ?」
『漂流者としてか?』
「こんな辺境に要るのは漂流者が冒険者だろ。それにほら、パイロットがシュガーコートだし、ありえない事じゃないだろ」
『あぁ、そう言った意味では、シュガーコートは役に立つな』
「同情されることはあっても、警戒されることはまずないからな」
機械猫たちが話していると、機械ネズミが、
「おい!お前ら、その発言、シュガーコートさんに失礼だぞ!」
とお怒りだが、
「良いんですよ、わたしはそういう役目ですから」
とシュガーコートはネズミをなだめた。
そう言っているうちに、時計の星の全貌が見えてきた。
僅かに動いている歯車の見える時計の惑星。
アンティーク時計好きには溜まらない外観だ。
『でも、それが準惑星サイズだと、さすがに引くな』
「ああ、国家予算とかそのレベルだしな」
つづく