19話 ずっと見ていた。
アンドロイドたちは、海に出ることを放棄した。
機械にとって海の潮は、故障を頻発させるだけの存在だったから。
青く広い海から、いつしか未知の存在となって行った。
海から人類文明の香りが消えるのに、それほど時間は掛からなかった。
何時からなのかは記録にはない。
ぼくらはずっと人類の文明を見ていた。きっと何万年も前から。
もしも惑星に意思があるなら、その意思がぼくらの進化を、促したのかも知れない。
「惑星が人類に呆れ、そして同情した結果だね」
イルカは深い海の中で、呟いた。
☆彡
鉄惑星とは、そのほとんどが鉄で構成された惑星だ。
太陽系外の惑星が、太陽系の重力に引寄せらえれて、太陽系内に進入することは、稀にある。
鉄惑星の存在自体は、かなり珍しいタイプの惑星ではあるのだが、人類が太陽系に流れ着いた時期に、太陽系に進入していた結果、一部の天文家のみで話題になった。
アンドロイド政府もその動きを追跡していたが、動きも遅く害はないと判断された。
それどころではなかったのもあるが。
人型の鉃の生き物が、モニターを眺めていた。
2人の鉃人は鉃の匂いがする部屋で、囁き合った。
「炭素系の生き物である人間よりも、機械で出来たアンドロイドの方が、鉃人に近いような気もする」
男気がありそうな鉃人が言うと、女気がありそうな鉃人が、答えた。
「でも、アンドロイドと違って、わたしたちは生きている」
「難しい問題だね」
鉃人・女気は、隕鉄で出来た刀を見つめた。
「称賛に値する」
人類との同盟の証だ。
その美しさゆえに、鉃人と人類が同盟を結んだと言っても過言ではない。
少なくとも2人の鉃人は、そこに惚れこんだのだ。
モニターには緑色の惑星が見えてきた。
「苔だね」
「苔だね」
つづく
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【男気のある鉃人】Feな生き物
【女気のある鉃人】Feな生き物
機械のネズミ
【アルバム】機械猫より賢そうだが、本体の記憶容量は少な目。
【ペガサス号】アルバムさんの大切な乗り物。
機械の猫
【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。
【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。
【黒猫と白猫】人類と一緒にやってきた猫
【獅子の様な石像】石で出来た生命体?
【苔玉ちゃん】苔の知的生命体。人類より高度な文明に属してそう。
人類時代の記憶を持つアンドロイド
【ソフィー】後の世の英雄のアンドロイド
【デューカ】ソフィーの相方