18話 猫に呼ばれたネズミ
機械ネズミの地下秘密基地に、機械ネコから手紙が届いた。
一見、暑中見舞いだが、我らは秘密組織に属する者同士。
もちろん暗号のはずだ。
機械ネズミは、暗号コードで解析を行ってみた。
「ん?」
何度やっても、それらしい文章は浮かんでこなかった。
「機械猫の事だ、古いバージョンの暗号解読パターンかも知れない」
と悪戦苦闘する事、1週間。
やはりそれらしい文章は浮かんでこなかった。
じっとその手紙を睨み続ける事、1時間。
「まさか!」
機械ネズミは横書きに書かれた文章を、縦に読んで見た。
【こ】【け】【の】【ほ】【し】【へ】【き】【て】
「苔の星?なんだろう?」
機械ネズミは、秘密結社サインの極秘サイトも含めて、検索してみた。
準惑星の1つに、緑色の星が出てきた。
その星の表面には苔が自生しているらしい。
「ここかな?」
機械ネズミは、
【こ】【け】【の】【ほ】【し】【へ】【き】【て】
を見つめた。
「だとしてだ、だとしたら、だとしても【サイン】を通じて、連絡が来るはずだ」
罠かも知れない。
いや罠だとして、こんなしょぼい罠なんてあるだろうか?
高知能を誇る人型アンドロイドが・・・
こんなしょぼい事する奴らって、あいつらしか思い浮かばない。
あいつら・・・
正式に【サイン】から何も言って来てはいないのだが、機械ネズミはあいつらに逢いたくなったからなのかも知れない。
機械ネズミは、ペガサス号に跨ると、秘密基地の奥にある宇宙船ドックへ移動した。
宇宙船ドックと言っても、機械ネズミサイズの小さな宇宙船ドック。
小さなお風呂場ぐらいだ。
機械ネズミは、お気に入りのペガサス号を宇宙船に収納すると、新月の薄暗い真夜中に、機械ネズミはアンドロイドが支配する惑星から、宇宙へと飛び立った。
反重力エンジンの為、それはとても静な旅立ちだった。
アンドロイドの管制官にとってはスペースデブリ扱いだ。
この太陽系を支配しているアンドロイドたちに、認識すらされないレベルだ。
その小さな宇宙船が大気圏外に出た後、
「完璧だ」
宇宙船のコックピットで、機械ネズミのアルバムは呟いた。
思考回路の奥が、わくわくしている事は、あいつらには知られたくはない。
つづく
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機械のネズミ
【アルバム】機械猫より賢そうだが、本体の記憶容量は少な目。
【ペガサス号】アルバムさんの大切な乗り物。
【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。
【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。
【黒猫と白猫】人類と一緒にやってきた猫
【獅子の様な石像】石で出来た生命体?
【苔玉ちゃん】苔の知的生命体。人類より高度な文明に属してそう。
【ソフィー】後の世の英雄のアンドロイド
【デューカ】ソフィーの相方