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『数億光年離れた遠い星の話』  作者: 健野屋文乃
9章 不確実な記憶の世界で

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16話 石で出来た戦闘機



宇宙船から降りて来る人々は、誰もが安堵した表情をしていた。


中には泣き出す人もいた。



『生死を、いやそれ以上の、人類の存続を賭けた表情してんな』


元白虎のバイカルは言った。



もし白虎が知能を手にしたら、こんな感じになるんやろな。


あゆみは思った。



「人類は多くの種を絶滅に追い込んできた。そんな事聞いても少しだけ心が痛んだだけだったけど、実際自分たちが直面すると、ヤバいな」



人類の滅亡原因は正確には不明だ。


あゆみの記憶では、最初に死に始めたのは、動物だった。


その後、人が死に始めた。


原因は大量絶滅だと説明されていた。



何億年に一回、もしくは何万年に一回、その星の生物を大量絶滅が襲うのは、別に珍しい事ではない。



それ以上の原因は不明とされた。


要するに、ほとんどまったく理由も解らず、地上の生き物は死に至った。


ただこの場合、1つの惑星に留まらず、太陽系全域の人類に及んだのだ。



『この人々は絶滅を逃れたって事だよな』


「そうらしいな」


『そもそも逃げて生き残れるのであれば、皆逃げてるよな』


「う~ん、何せ5000年前の話だ。どうだったか覚えてない」


『記憶が消されたんじゃない?』


「消されたなら、それなりの違和感があるはずだろ」


『5000年間に少しずつなら、違和感は感じない』



「あっ1つ思い出した!太陽系全域の宇宙線濃度が異常に高くなったって説があったな。だから地上の生き物だけ絶滅して、水中の生き物は絶滅を逃れたって」


『それも太陽系外に脱出すれば良いって話じゃん』


「誰かが脱出を阻止していたって事?」


『まあこの映画を見る限り、この人たちは誰かに追われてるよな』



映画の中で、苔玉星の周りには、石で出来た戦闘機の様なモノが飛び回っていた。



「この星の戦闘機かな?」


『何かを警戒してるぽいな』


「追手か」


『人類を絶滅に追い込みたい勢力か』


「まず考えられるのが、アンドロイド勢力だよな」


『でもこの惑星のアンドロイドの主勢力は、元人間だぜ。元人間が人間を滅ぼそうとするか』


「そこなんよな。後で苔玉ちゃんい聞いて見よう」


『起きるかな?なんか永遠の眠りに入った様な感じだったぜ』


「石像ちゃんたちなら、知ってるんじゃない?ねえ?石像ちゃんは、人類絶滅に追い込みたい勢力って、誰か知ってる?」



映画館の隅でじゃれ合っていた石像ちゃんたちは、


「えっ?何でしょう?」


とハモった。



「5000年前、人類絶滅に追い込みたい勢力って、誰か知ってる?」


「5000年前と言ったら、俺たちが生まれるずっと前だからな。知らねぇな」


「石像ちゃんたちって、幾つなの?」



「いくつだっけ?」


石像はハモりながら、お互いを見た。


「さあ、解らねぇ。俺たち石だからさ、そう言う時間の流れとか良く解らねえんだ」



「石か~」


あゆみとバイカルは、動く石像を見た。


間接が動くと言う事は、そこは柔らかな何かなのだろう。



『石とは不思議な生き物だな。そもそも石って生きていると言えるのか?』


バイカルはあゆみの耳元で囁いた。


「まあ動いているし、生きてんじゃない」



映画では石の戦闘機群が、宇宙港に入港していた。



「それにしても石で出来た戦闘機って斬新じゃね?」


『想像の外の戦闘機だよな』





つづく





☆…━━━━━・:*☆…━━━━━・:*☆…━━━━━・:*☆








【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。


【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。



【黒猫と白猫】人類と一緒にやってきた猫


【獅子の様な石像】石で出来た生命体?



【苔玉ちゃん】苔の知的生命体。人類より高度な文明に属してそう。




【ソフィー】後の世の英雄のアンドロイド


【デューカ】ソフィーの相方


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