15話 苔玉ちゃんが地道に、画像処理をした映画
『まただ』
バイカルの声であゆみも気づいた。
いつの間にか、綺麗に研磨された石に囲まれた神殿中枢部にいたのだ。
苔玉星の文明と技術レベルの高さを、あゆみとバイカルに思い知らした。
この技術を越える技術力がない文明は、この神殿中枢部に辿りつく手段がないのだ。惑星ごと破壊すれば別だが。
当然、惑星を破壊を防止するシステムも備わっているのだろう。
『苔なのに』
「そうだね」
バイカルの言葉に、あゆみも同意した。
あゆみがその場所を神殿中枢部は、綺麗に研磨された石の壁で囲まれていた。
バレーボールが出来るぐらいの広さはあった。
獅子の石像が、幾つかの石の壁に触れると、研磨された石に惑星周辺の映像が映された。
『おおお!』
「この古い遺跡と思わせといて、最新鋭!やるね~」
「それでは皆の衆が気に入って頂ける、映画の上映会をしたと思います!」
石像のどっちかが言った。
『映画?俺ら別に遊びに来ている訳じゃないんだ』
「石像さん達さ、俺たちはさ、来訪した人類をどうするのかって話をだな。
それに俺たち暇じゃないんだ。お前らと違って!
(実際はめちゃくちゃ暇だが、そもそも暇つぶしに秘密結社サインに関わり、暇つぶしに人類と絡もうとしている機械猫たちなのだが)」
あゆみとバイカルの抗議に、石像たちは、
「苔玉さまに映画を見せるように言われたので・・・」
右の方の石像は言い、左の方の石像がさらに
「とりあえず苔玉さまに、確認をしてきます」
「ちょっと待って、ちょっと待って」
あゆみは慌てて石像たちを制止した。
苔玉さまの時間の感覚では、待ち続けなくてはならなくなる。
『苔玉ちゃんが言うなら、何か考えがあるんだろうよ』
「解った。とりあえず映画の上映会をしてみようぜ」
「了解です」
石像たちは、もちろんハモった。
神殿部中枢の部屋には、座席もポップコーンも何もなかった。
仕方なくあゆみとバイカルは、床にじかに座った。
神殿の中枢部の部屋が暗くなり、映画が始まった。
映像自体は見やすく綺麗だが、画像処理の修正を繰り返している痕跡が伺えた。
『苔玉ちゃんが地道に、画像処理をしたのか?』
宇宙船がこの星に入ってくる映像が流れた。
ここの星の宇宙港に入った宇宙船から、人々が降りて来た。
「なんだよ・・・これ」
『人類だ・・・』
あゆみとバイカルは見入った。
つづく
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機械の猫たち
【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。
【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。
【黒猫と白猫】人類と一緒にやってきた猫
【獅子の様な石像】石で出来た生命体?
【ソフィー】後の世の英雄のアンドロイド
【デューカ】ソフィーの相方