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『遠い星の話』  作者: 五木史人
9章 不確実な記憶の世界で
174/251

13話 銀河系では黒猫白猫は人気種

苔玉ちゃんは、何かを思い出すかのように、苔の庭園を見渡した。


あゆみとバイカルもその視線の先を見つめた。


静寂に包まれた良い庭園なのは、素人のあゆみとバイカルにも理解出来た。



その庭園を眺めていると、苔玉ちゃんと同じ時間の流れを、意識出来た。



人類の寿命が80年そこらなのに対して、苔玉ちゃんの寿命は数千年か?


もしくは個体としての寿命なのか、種としての寿命なのかその辺は、はっきりしないが。



苔玉ちゃんは、あゆみとバイカルをじっと見つめた。


美しすぎる瞳が、ドキッとさせた。



「5000年前に、ぼくに出来たのは、この苔の星に逃げてきた人類の一団を一時的に匿う事だけだった」



「えっ!えーーーーー!」


あゆみとバイカルは目を合わせた。



「それじゃあ人類の一団は、生き残っていたのか?!」


「うん、そうだね、でも一団と言っても数十人だけだった」



「それでも、男女一組だけでも生きていれば!」


『人類滅亡は避けられる!』



あゆみとバイカルは歓喜した。



「こんなに嬉しい事って、あるのか!俺たちは滅亡してなかった!」


『ひゃああああああああああ!』



歓喜した元白虎のバイカルは、声を出さずに、庭園の石畳の上を疾走した。



「そこは大声出せよ!」


『それぞれ喜び方ってあるだろう』



バイカルの後を、2匹の石像が嬉しそうに追いかけて行った。



あゆみは思考回路に満ちる歓喜を抑えながら、苔玉ちゃんとの話を進めた。



「で、その後人類の一団はどうなった?」


太陽系境界面ヘリオポーズで、宇宙船に乗り換えて、太陽系外に出て行った」


「その後は?」


「知らない。情報戦において、知らない方が良いってのもあるし」


「まあ、そうだな」



「この黒猫と白猫が返ってきたって事は、あの人類は、この人類の子孫なのか?ほらほらこの鈴」


「それはなんとも・・」


「えっ?なぜ?」



「5000年前の話だからね。銀河系では黒猫白猫は人気種だし、その鈴にしても、人気商品で、至る所で売られている」



「まあ5000年も経てば、そうなるよな」





つづく








☆…━━━━━・:*☆…━━━━━・:*☆…━━━━━・:*☆








【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。


【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。



【黒猫と白猫】人類と一緒にやってきた猫


【獅子の様な石像】石で出来た生命体?



【苔玉さま】苔の知的生命体



【ソフィー】後の世の英雄のアンドロイド


【デューカ】ソフィーの相方




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