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『遠い星の話』  作者: 五木史人
9章 不確実な記憶の世界で
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7話 記憶の管理人

『地震か?』


バイカルが呟いた。


「震度5ってとこか?」


『火山性の地震とか言ってたな、どっかの火山が噴火してんじゃない』



保守を極めたアンドロイド社会は、ほとんどの自然災害を克服している。


建物だって震度10だって耐えるくらいだ。



でもここは社会に守られている都市と違い、捨てられた海岸線沿いだ。



4機のアンドロイドは地震が収まるのを、じっとまった。



『そう言えば津波って知ってるか?』


「ツナミ?」


『地震の時、大波が来るって奴だ』


「ああ、なんかそんなのあったな」


『大丈夫かここ』



4機のアンドロイドは海を見つめた。




☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡




水着にパレオを巻いた少女が見えた。


南の島のリゾートにいるような人間の少女だ。


少女はトロピカルジュースを飲みながら、あゆみに微笑んだ。



「あゆみくんの記憶、預かっとくね」



「記憶の管理人め!」


あゆみは思考回路内で叫んだ。



「ねえ、あゆみくん、怒らないで、これも美しい未来の為だよ」



記憶の管理人の少女は、あゆみの口にトロピカルジュースのストローを付けた。


あゆみは、記憶の管理人の少女の存在に、イラつきながらも、トロピカルジュースを飲んだ。



それはとても甘く、『生』の香りと味がした。


人間として生きていた頃に感じていた『生』の感覚は、とても懐かしく、涙が流れた。



記憶の管理人の少女は、あゆみを抱きかかえ膝の上に乗せ撫でた。



撫でられたからと言って、怒りが収まる訳じゃない・・・・って事もない。




☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡




あゆみは思考回路の夢の中から、目を覚ました。


やはり海岸線からの記憶が無い。



目の前には、黒猫と白猫。


そして相方のバイカルがその猫たちを撫でていた。



何らかの方法で、猫をゲットしたのだろう。



「また記憶の管理人にやられた!」


怒るあゆみに、バイカルは、


『仕方ないよ。秘密結社が秘密を暴かれたら、結社の存在が危ぶまれる』



アンドロイドに黙秘権などない。


記憶データを奪われたら、黙秘など意味はないのだ。


それを防止する為に、機密情報は【記憶の管理人】が、安全な場所に保管する。



安全な場所がどこなのか、もしくはそんな場所があるのかすら解らない。



「まあいい」


あゆみは、そう呟いて、自分を納得させた。



「それにしても、ここはどこだ?」


あゆみの問いに、バイカルは取扱説明書を見せた。



『どうやら準惑星らしい』



「砂糖さんとあのネズミは?」


『砂糖さんは宇宙船に収容されてる、ネズミは知らん』



あの機械ネズミのアルバムさんは、秘密基地に戻ったのだろう。



「まあいい。記憶は取られたけど、黒猫と白猫は確保できた訳だし」




つづく





いつも読んで頂き、ありがとうございます。



毎週、土曜日更新です(σ⁎˃ᴗ˂⁎)σண♡*(ღ*ˇᴗˇ*)。o♡ウットリ♡




機械の猫たち



【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。


【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。




機械のネズミ



【アルバム】機械猫より賢そうだが、本体の記憶容量は少な目。


【ペガサス号】アルバムさんの大切な乗り物。




人型アンドロイド



【砂糖さん】シュガーコート177。あゆみとバイカルが買ったアンドロイド。


【シュガーコート001】もっともお手頃なお値段のアンドロイド。



【ソフィー】後の世の英雄のアンドロイド


【デューカ】ソフィーの相方



【猫】黒猫と白猫

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― 新着の感想 ―
[一言] 今更のお願いですが、お話本文とあとがきの間には仕切りとなる線とかの印を入れてもらえると、分かりやすい。
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