11話 俺たち5000年の付き合いだよな!
スペースシャトル型の宇宙船に乗り込むと、カラカル機械猫のあゆみは、人型アンドロイドを起動させた。
人類滅亡前は人だったが、機械の猫として生きることを選んだのが機械猫だ。
ただペットとして世を忍んでいるので、ペットだけでは、惑星への入星が出来ない。
この人型アンドロイドは、新機種と呼ばれる機種で、人類の記憶を保持していないし、人工知能のレベルも低く抑えている機種だ。
その人型アンドロイドを起動させると、機械白虎のバイカルは雄叫びを上げた。
そして、人型アンドロイドを激しく威嚇しはじめた。
これが何を意味するのかは解らない。
いや意味などないのかも知れない。
さらに普段は小声で静かに話すのに、雄叫びは大音量だ。
猫なんて気まぐれな生き物だ。気にしてもしょうがない。
人型アンドロイドの機種名は、シュガーコート177。
我々は砂糖さんと呼んでいる。
砂糖さんは無表情でコックピットに座って、宇宙船を操作した。
どう対処すれば良いのか解らないのだろう。
お求めやすいお値段のアンドロイドなので、大体無表情だ。
機械白虎のバイカルは、雄叫び疲れたのか、カラカル機械猫のあゆみの隣に座った。
「実はな、俺、5000年来の心の友のお前に言ってなかった事がある」
白虎はいつもと違いちょっと大きな声で言った。
雄叫び後はちょっと声が大きい。
「何?」
「俺な、実は白虎なんだ」
「知ってる」
「そうじゃなくて、俺は人間じゃないんだ」
「知ってる、白虎だろ」
「お前は、昔人間だっただろ」
「ああ」
「俺はな、白虎だったんだ」
「・・・」
「俺はな、5000年前、白虎だったんだ」
「えっ?」
「5000年前、白虎だった俺はな、アンドロイド化の過程で知能を上げ、今のしゃべれる機械の白虎になったんだ」
そんな話は聞いた事がない。
しかし人間のアンドロイド化が可能なら、虎のアンドロイド化も可能なのか?
「なぜ今まで黙ってた?俺たち5000年の付き合いだよな!」
「驚いたか?」
「そりゃ親友が実は虎だったなんて、驚くだろう!」
「ごめんよ。いつか言おうと思ってたんだが、月日は流れ」
「流れ過ぎだろう」
「今、本物の猫が現れた以上、俺は真実を告げたくなったんだ」
「なぜ?」
「俺、猫語が喋れるんだ」
「マジか」
「そんな俺が思うに、人類が連れてきた猫は、答えの鍵だと思う」
「ほう」
つづく
機械の猫たち
【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。
【白虎のバイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。元々は白虎。
人類たち
【沙羅】この惑星に漂流してきた人類の少女14歳。錬の兄が好き♪
【錬】ゲーム好きな人類の少年13歳。
【知佳】躍るのが好きな12歳の少女
【黒猫】【白猫】人類の宇宙船から逃げ出した猫。