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『遠い星の話』  作者: 五木史人
8章 5000年前からの贈り物
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5話 猫は笑いながら眠る。

その猫は、宇宙港の石の柱の影から、こちらの様子を伺っていた。



多分、生気を感じないから、機械の猫だろう。


猫のアンドロイドと言ったところだ。


まるで、おもちゃみたいだ。



追いかけようとする知佳に沙羅は、


「驚かせないようにね!」


と小声で囁いた。



「わたしも行きたい!」


とせがむ子どもたちに、沙羅は


「まだ外は危ないからここにいてね」


と小声で諭した。



そう言っているうちに、知佳は宇宙船の外へ出てしまっていた。



知佳がリボンをクルクル回しながら駆けて行くもんだから、


「知佳ちゃん、そんな事したら驚くから!」


と制止しながら、沙羅は知佳の後を追った。



ボーとしていた錬も、こちらの動きに気づき、


「ぼくも」


とついて来ようとしたので、


「錬はここにいて」


と沙羅に止められた。まだ機械の兵隊だけに任せるには危うい。



女の子だけで行くのは危ないよ・・・


と錬は言おうとしたが、知佳専用機械兵と沙羅専用機械兵が後を追っていたので、大人しく見守る事にした。



宇宙船を飛び出した知佳は、リボンを回し跳ねながら機械の猫を追った。



「にぎゃああああああああ!」


機械の猫の恐怖の叫びが回廊に響いた。


リボンがモンスターに見えたのかも知れない。



機械の猫は、宇宙港の回廊を全力で逃走した。


それを知佳は踊りながら追いかけて行った。



宇宙港の回廊の壁は、綺麗に磨かれた石で出来ていて、まるで出来立ての遺跡の中にいるかの様だった。



「沙羅ちゃん、猫がいたよ!」


回廊の奥から知佳の声が響いた。



沙羅が到着すると、機械の猫は、犬小屋ぐらいの石の箱の入り込んで、知佳を威嚇していた。だけど、優しげな沙羅を見上ると、ニコリと微笑を浮かべた。



「人を見る目のない猫、所詮機械ね」


知佳の言葉をよそに、機械の猫はご機嫌で鳴きだした。



「にゃーにゃにゃー♪」



「きっと歌っているのだろう」と知佳と沙羅はそう結論付けた。



そして歌い終えたのか、猫は静かに眠った。


「猫ちゃん眠っちゃった?」


「まじ?」



さすが猫、機械とは言え、気まぐれだ。



「この猫ちゃん、どうする?」


知佳はピョーンと跳びながら聞いた。



この機械の猫がこの遺跡の重要なカギだとは、明らかだった。




つづく




人類たち



【沙羅】この惑星に漂流してきた人類の少女14歳。錬の兄が好き♪

【錬】ゲーム好きな人類の少年13歳。

【知佳】躍るのが好きな12歳の少女


【アローン兵】太陽系最強の機械の兵隊


【機械の猫】きっと重要な何かをしってるはず。

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