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『遠い星の話』  作者: 五木史人
8章 5000年前からの贈り物
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1話 幻想や幻影の奥にある繋がり



「パーン」


乾いた音が響いた。

その直後、錬の銃は弾け飛んで行った。


機械の兵隊の正確な射撃に、人類の全員が動きを止めた。

厳しい表情の沙羅は、「錬、動かないで!」と視線で制止した。


恐怖に静止した人類の中に合って1人、知佳は、お尻を振り振りと動かしていた。


「何してんだろう?」


知佳以外の人類はみんな思ったが、機械の兵隊はさほど気にしてない様だった。

お尻を振る知佳以外が、静止した状態のまま数分が流れた。


大丈夫かもしれない。

沙羅がそんな表情をしたので、錬もすこし落ち着いた。


素人(錬)と玄人(機械の兵隊)の差を見せつけられたらしい。

さっきのアンドロイドの宇宙船との戦闘は、一回限りのビギナーズラックだったのだろう。


錬はすぐに両手を上げ、降伏の意思を示した。

沙羅や子どもたちが、「あ~ぁ」って目をしていた。


そんな時なのに、知佳は頭を下に下げ、足を円を描くように回した。


【イリュージョン】と呼ばれる技だ。イリュージョン・・幻想や幻影 


最近、知佳は新体操をすると、幻想や幻影の奥に潜む、大きな繋がりのようなモノとを知覚する事に気づいた。

身体全体で何かを感じ取っている感じだ。

誰にも言っていないので、「こんな時に」って目で、みんなに見られた。


正しくは機械の兵隊も含めてみんな、知佳の回るつま先を追っていた。

知佳のつま先を追う機械の兵隊の視線に、沙羅と錬は目を合わせた。


「ちょっと汗かいたから、シャワー浴びてくる」


知佳はそう言うと宇宙船内に入った。

知佳が通ろうとすると機械の兵隊は、すっと道を開けた。


再び、沙羅と錬は目を合わせた。

沙羅の耳元で錬が囁いた。


「敵対するつもりはないみたいだよ」

「そうみたい」


こんな時なのに沙羅の耳元に近づける口実に錬は喜んだ。

実際、沙羅の近くによると良い香りだする。


知佳や錬が、どこか心に余裕を持てるのは、一身に責任を負っている沙羅のお蔭だと、錬も理解してはいた。

実際、沙羅の表情は緊張で強張っていた。


知佳の後を追って、沙羅と錬と子ども達が宇宙船内に入ると、機械の兵隊たちが、まるでホテルのドアボーイのように親しく微笑んでいるような気がした。


何かが好転は始めた気がして、錬は踊った。

だからと言って、知佳のように上手くは踊れなかったのだが。




つづく






人類たち



【沙羅】この惑星に漂流してきた人類の少女14歳。錬の兄が好き♪

【錬】ゲーム好きな人類の少年13歳。

【知佳】躍るのが好きな12歳の少女


【アローン兵】太陽系最強の機械の兵隊

【ソフィー】アローン兵と唯一リンクするアンドロイド

【デューカ】ソフィーと同じ職場で働いていた同僚


【参謀1号】ソフィーに忠誠を尽くす参謀タイプのアローン兵

【参謀2号】参謀1号の予備


機械兵には禁止されている人工知能を、獲得しつつある。


【タムラ】鉱物資源企業団公社のナンバー2


【評議会議長】 人類及びアンドロイド内の人類の記憶を消そうと企む

【リサ】    議長の思い出の人に似せたアンドロイド・主席秘書官


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