20話 知佳を羨ましく思っても・・・
『惑星ユピテル・人類の宇宙船内』
空洞は、小さな宇宙船用の宇宙港サイズの広さがある。銀河標準規格は採用されているようだ。
ちょっと不思議なのは空洞の中は、大理石の様な石で出来ていた。
まるで何かの遺跡の様な出で立ちだ。
宇宙船の外気センサーが、酸素濃度が生存可能である数値を示していた。
「酸素がある?」
沙羅の言葉に、子どもたちから笑顔が漏れた。
自分たちが生存可能空間があると言うのは、やはり嬉しい。
「じゃあとりあえず、わたしと錬で外の安全を確かめに行きましょう」
と知佳が言って錬を見た。
子どもたちの視線さえなければ、断っていたはずだが、錬は知佳の言葉に従うことにした。
「じゃあ」
と錬は小銃を取り、知佳にも渡した。
「子どもが普通に小銃を取るのはどうだろう?」と沙羅は思ったけど口には出さなかった。
知佳はホルダーを着けると拳銃を2丁装着して、子ども達に向けてポーズを決めた。
「知佳ちゃんカッコ良い!」
知佳はにんまりとした後、
「行きましょう」
と錬に告げた。
自分を見せることに慣れている知佳を羨ましく思っても、錬には何もする事なんて出来なかった。
「まあ、それはそれ」
2人が覚悟を決め、宇宙船のドアが開くと、外から美味しい空気が入ってきた。
自然の空気だ。どこかに木々や自然があるのかも知れない。
2人は見送られながら外に出た。
うん、空気が違う!
錬と知佳は目を合わせた。
2人が深呼吸をして、一息つくと、背後の宇宙船から悲鳴が聞こえた。
「えっ!?何で!?」
同時に錬と知佳は振り向いた。
沙羅と子どもたちの背後で、機械の兵隊たちが動き出していた。
知佳は銃に手を握ったが、沙羅と子ども達がいては撃つことは出来なかった。
錬は小銃を構え、沙羅の背後の機械の兵隊に狙いを付けた。
「大丈夫」
錬は呟いた。
つづく
人類たち
【沙羅】この惑星に漂流してきた人類の少女14歳。錬の兄が好き♪
【錬】ゲーム好きな人類の少年13歳。
【知佳】躍るのが好きな12歳の少女
【ソフィー】アローン兵と唯一リンクするアンドロイド
【デューカ】ソフィーと同じ職場で働いていた同僚
【参謀1号】ソフィーに忠誠を尽くす参謀タイプのアローン兵
【参謀2号】参謀1号の予備
機械兵には禁止されている人工知能を、獲得しつつある。
【タムラ】鉱物資源企業団公社のナンバー2
【評議会議長】 人類及びアンドロイド内の人類の記憶を消そうと企む
【リサ】 議長の思い出の人に似せたアンドロイド・主席秘書官