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『遠い星の話』  作者: 五木史人
7章 電光石火作戦
134/251

13話 記憶保持者の消去依頼?

『首都・記憶図書館最深部』



青い視野レンズの参謀兵は、ソフィーから譲り受けた感情ファイルを自身の思考回路にインストールした。

一般的感情がないと、一般的なアンドロイドと接する際に不都合があるからだ。


心配なのは感情故に、戦闘力が低下する可能性だ。


 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡


インストールを終了したが、今のところ変化はない。


参謀兵は、思考回路内の情報を見渡した。


>問題ない


そして、鏡に映る自分をチラッと見た。

鏡の中の自分は、清涼感のある制服を着ていた。


記憶図書館司書は、一般の図書館と違い、きちっとした制服を着ていた。

参謀兵は戦闘兵器とは思えないその姿に、気恥ずかしさを感じた。


「感情故なのか」


そう思った直後、思考回路表層に突然現れたソフィーの感触に慌てた。


ソフィーの感触が思考回路中に充満していった。


上品で優しい感触。


参謀兵が人間ならば、A10神経をドーパミンが駆け巡り「快感」もしくは「幸せ」と表現をしただろうが、彼の自意識はそれを認識出来るほど、人間的では無かった。



青い視野レンズの参謀兵の、思考回路に鮮明に映ったソフィーは高めのトーンで、


「元気?」


と明るく聞いてきた。


絶対服従な命令しか受け取ってこなかったアローン兵の参謀への挨拶としては、あまりにも場違いな言葉に、バグを起こしそうになった。


参謀兵が、かろうじて


「はい」


と答えた。


「仕事は進んでる?」


「はい、現在、人類当時の消去された情報の登録ナンバーを洗い出しました。

人類時代の記憶の消去された情報は、全体の31%」


「約31%も!」


「その消去理由の内訳は、約15%が記憶保持者の消去依頼によるものです」


「記憶保持者の消去依頼?」


「精神的トラウマを起こす可能性のある記憶に関しては、記憶管理局に申請を出し、申請が通れば消去が可能な様です」


ソフィーは、その話をどこかで聞いた事を思い出した。

たいていのアンドロイドは、申請の面倒さと人類時代の記憶の貴重さを考えて、見向きもしなかった。



「私だって、消したい記憶が無い訳じゃないけど、嫌な事を忘れて楽しい思い出だけで、生きるなんて。

でも、記憶消去理由の約15%もあるとはね」


ソフィーと参謀兵の間に、数十秒の沈黙が流れた。

まだ間の感覚が理解できない参謀兵が、話す気配が無いのでソフィーは


「続けて♪」


と促した。



つづく



【ソフィー】アローン兵と唯一リンクするアンドロイド 人類だった頃は女性

【青い視野レンズの参謀兵】ソフィーに忠誠を尽くす参謀兵(優先順位1)



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