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『遠い星の話』  作者: 五木史人
7章 電光石火作戦
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12話 黄昏る青い街

『西都・サマルカンド』



太陽系最大の企業集団・鉱物資源企業団公社の城下町として栄えた西都・サマルカンド。


そのサマルカンド市民に取って、内務省治安部隊を撃滅し、鉱物資源企業団公社ビルを占拠した、ソフィーとその配下のアローン兵の存在は、極めて不可解な存在に思えた。


ソフィー自身は、そのスレンダーな身体と洗練された顔立ち、内面から溢れてくる様な優しさによって、見るものに安らぎを感じさせた。


しかし、ソフィーの周囲を固めるアローン兵の、威圧的な機体と冷酷な表情は、サマルカンド市民の記憶装置の奥から恐怖を呼び起こさせた。


アローン兵は内務省、そして内務省を裏で操る評議会議長の、無慈悲な体現者そのものだった。


実際、過去の歴史に置いて、アローン兵によって、多くの市民が記憶もろ共粉砕されて来た。



ソフィーの周りをうろつくデューカとか言うアンドロイド。


このアンドロイドに関する市民の評価は、可も無く不可もなく、デューカには残念だが、誰も興味を示さなかった。


デューカは、朝からずっと流れている報道を見ながら


「適当な事ばかり言いやがって!」


と吠えた。



ソフィーによる、鉱物資源企業団公社ビルを占拠以後、ソフィーが敵か味方が判断できずにいた民兵組織は、静かになりを潜めていた。



噂では10万機は言われるアローン兵に一瞬で粉砕されることを恐れたためだ。


10万機は、誇張された噂に過ぎないのだが。




『サマルカンド・鉱物資源企業団公社ビル・最上階会議室』


ソフィーとデューカは最上階から、サマルカンド市内を見下ろしていた。


デューカは


「今まで、地下で行動しすぎた分、突然、こんな明るい場所に出るとキツイな・・・


サマルカンドの報道局は、俺達がサマルカンド市を乗っ取ったみたいな事、言ってるし・・・


どうする?なんか、えらい事になってしまったな。」


と言って、黄昏る様に街を見下ろすソフィーの横顔を見た。




その横顔を見ながらデューカは、5000年前の人だった頃の、ソフィーを思い出した。


そして、「あの頃と変わらない横顔」と思考回路の奥で思った。



ソフィーは声になるかならないかの声で


「うん」


と返事をした。



この境遇の変化に、ソフィーの思考回路は混乱していた。



思考回路を、複雑な方程式が「答を早く出せ!」と喚き散らしているように思え、目を背けたくなる。


ソフィーは、会議室の窓から離れ、ゆったりとしたソファーに座ると目を閉じ、五感を完全に遮断し、無音の闇の中に、自分の意識を浸した。


思考回路の奥にある青い視野レンズの参謀兵のフィルを開き、今となっては懐かしさすら感じる、青い視野レンズの参謀兵にアクセスした。




つづく


【ソフィー】アローン兵と唯一リンクするアンドロイド


【デューカ】ソフィーと同じ職場で働いていた同僚


【評議会議長】 人類及びアンドロイド内の人類の記憶を消そうと企む


【青い視野レンズの参謀兵】ソフィーに忠誠を尽くす参謀兵(優先順位1)

機械兵には禁止されている人工知能を、獲得しつつある。


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