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『遠い星の話』  作者: 五木史人
7章 電光石火作戦
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2話 人類、可愛いかも

『惑星評議会・白の廊下』


決議案を提出し、一時休廷になった人類対策委員会室を出た議長は、


「愚かな人類め、自らを制する事も出来んとは、哀れみすら感じる。

これであの偽人類を、創造主人類の再来と騒ぐ奴らも減るだろう。」


と廊下の窓から空を見上げて言った。


主席秘書官のリサは


「哀れみすら感じる・・・」


と復唱するように呟いて、同じように窓の外の空を見上げ、その向こうにいる人類を想った。


新機種であるリサは、人の記憶を持たない。

ゆえなのか人類への興味は、旧機種とは違う意味を持っていた。

まったく違う生命への興味、それは新しい生物を発見した生物学者のような感覚かもしれない。



>人類、可愛いかも






『首都郊外・地下鉄遺跡』



地下鉄遺跡の各所では、アローン兵の工兵タイプが、ソフィーのイメージを元に、地下鉄構内の復元を試みていた。


オープンカフェ仕様の椅子に、優雅に座っていた予備の参謀兵タイプ(優先順位2)は、邪魔者扱いされ、カフェの椅子を立ち退かざる得なかった。


(優先順位2)は、落ち着く場所を探し求め彷徨った。


彷徨っていると、地下鉄遺跡を探索しているアローン兵から、送られてきた動画が思考回路上に映された。


「地下水路があるのか?」


思考回路上に、水の流れる音が響き渡った。


(優先順位2)は、その水の音によって、地下鉄遺跡を歩くアローン兵のプログラムに、かすかな異変が生じたことを感じた。


「ウイルス?」


少しだけ慌てた(優先順位2)は、急いでそのアローン兵のプログラムをスキャンしたが、ウイルスは検出されなかった。


「?」


(優先順位2)は可愛く首を傾げた。

ソフィーに「参謀たる者、疑問に持った時は首を可愛く傾げるんだよ♪」と教えられた為だ。


(優先順位2)は、そのかすかな異変を、自らの思考回路内にも感じた。


地下鉄駅構内の設置されたばかりの椅子に腰かけながら、人なら焦りと呼ぶ状況に、(優先順位2)は、陥っていった。


そして、とりあえず再び可愛く首を傾げてみた。

周辺に可愛いと理解する機械の工兵は、一機もいなかった。


それを寂しいと思う概念を、ソフィーから移植されなければ、(優先順位2)も寂しさを感じなかったはずだ。


(優先順位2)は、感情を持つことの苦悩を少しだけ理解した。






つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます。

毎週、日曜日更新でございます。ヾ(*゜∀゜*)ノキャッキャッ♪




【評議会議長】この太陽系に置ける最高責任者


【リサ】レーゲンの主席秘書官   


【予備の参謀兵タイプの機械兵(優先順位2)】青い視野レンズの参謀兵(優先順位1)の予備の参謀機械兵


プログラム上(優先順位1)の命令には、逆らえない仕様になっている。




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