1話 電光石火作戦発動
『評議会・人類対策委員会』
評議会議長は嘲笑いを浮かべながら、自分に対する弾劾を聞いていた。
委員会の席上で教会から派遣された神父が、
「我々を創造し、そして、この星の真の主・・・人類に対する侮辱は、
我々教会及び信徒に対する侮辱と同義である。」
と、評議会と評議会議長を弾劾した。
議長席を見上げる神父と視線があった。
堅物が好きそうな堅物の容姿をしている。
人類擁護派の生き残りの、決して利では動かないタイプだ。
強大な権力を行使すれば、こういう堅物の連中を潰すのは簡単だが、その反動を考えれば得策ではない。
愚民が納得する大義が必要だ。
愚民を搖動し、愚民に潰させる。
自らにその反動を向かわせない手は幾らでもある。
議長の主席秘書官のリサが、耳元で囁くように言った。
「アントンの管理官から電文です」
好みの容姿に好みの声質のアンドロイドの秘書官の存在は、議長の思考を鋭利な者へと誘ってくれる。
小さなメモには伝言の文字が書かれていた。
【警備兵を粉砕し、人類がアントンから逃亡。レッドイーグルが手引きした可能性あり】
その内容は、議長の嘲笑いを狂喜の表情に変えた。
議長は立ち上がると、自らを弾劾している最中の神父を見下ろした。
「今、入ったアントンからの緊急電文によると、あの人類似た生命体は我が宇宙ステーション・アントンを強襲!
警備兵数機を粉砕し逃亡した!
この行為は我々文明社会・・・・もちろん、あなた方教会及び信徒に対する敵対行為である。
我々惑星評議会は、この星のアンドロイド及び、偉大なる人類が残したこの文明と惑星を守る義務を遂行するため
あの人類に似た生命体を撃滅をする」
と高々に言うと、評議会には大きなどよめきが起こった。
目に見えない空虚に満ちた陰謀より、目に見える事実による陰謀の方が、嘘を着く必要がないぶん心地がよい。
議長はどよめきの中、強い口調で言った。
「評議会議長として、そのための決議案を提出する!」
独裁者と言えるほどの権力をもってはいるが、半永久的に権力を保持する為には、この種の手続きは重要だ。
つづく
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【惑星評議会議長】 この太陽系に置ける最高責任者
【リサ】議長の主席秘書官