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『遠い星の話』  作者: 五木史人
6章 少女の生真面目さと・・・
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14話 大切に仕舞っている記憶

『首都・評議会議長室』



議長の主席秘書官のリサは、シンクタンクに教会と企業団の信頼失墜シナリオ作成を指示すると、じっと水槽の中の原色の熱帯魚を眺めながら、考えた。


アンドロイドの記憶回路に記憶されている、人類時代の記憶の消去・・・


既に人類時代の記憶の30パーセントは、不慮の事故、要するにコンピューターウイルスとバグそして、記憶図書館職員のミスによって失われていた。


世間では、評議会議長と内務省がウイルスをばら撒いたと言う噂が、ほとんど定説になっている。


評議会議長が、記憶図書館の予算削減に積極的なのは事実だが、主席秘書官のリサが知る限りでは、議長が関わったというのは、ほとんどデマの域を出ていない。


教会と公社と対立してまで、実行する動機はなかったし、確実に手続きを踏んで前に進むタイプの議長が、暗躍するとは思えない。



「人類時代の・・・人としての記憶が無くなったら、私達は何者になるんだろう?」


リサは水槽に映るアンドロイド化した自分の顔を見ながら思った。


教会と企業団公社の力が失墜後、議長は人類時代の記憶を一気に消してしまう計画は既に進行中だった。


詳細は解らないが、きっかけは、人類の不時着らしい。



リサもその計画に手を貸していることになる。


リサはかすかに苦悶の表情を見せると、5000年前の人類だった頃の記憶の中に、自分の意識を一瞬だけ沈めた。


人の肌の感触と温もり・・・その記憶はリサの記憶の奥に大事に仕舞われていた。



『宇宙ステーション・アントン港内・人類を乗せた宇宙船』




「あっ!錬!最後の一個!私少ししか食べてないのに!」


沙羅は叫ぶと、最後の一個のとうもろこしを奪うために錬に飛び掛った。



「こんな時に、ぼんやり考え事なんかしてるのがいけないんだ!


早いもの勝ちに決まってるじゃないか!」


錬は急いでかじろうとした。


そうさせまいと沙羅は、錬をスリーパーホールドで固めた。


錬は、じたばたとしながらも、沙羅の肌の感触と温もりを感じた。



それは、宇宙ステーションアントンの眼下を回る惑星のアンドロイドたちが、


大切に記憶の奥に仕舞っている遠い昔に感じた感触だった。





つづく





いつも読んで頂き、ありがとうございます。

毎週、日曜日に更新です O(≧∇≦)O イエイ!!



【惑星・評議会】


評議会議長 惑星の独裁者 5050歳

議長の主席秘書官 リサ  5023歳



【人類たち】


沙羅サラ14歳

錬 (レン)13歳

知佳チカ12歳

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