4話 女子受けがいい可愛い宇宙船
『大気圏外・人類を乗せた宇宙船』
人類が乗っている宇宙船は、スサノオ級円盤型宇宙船。
この銀河系では、汎用性がすぐれ、比較的故障も少なく、どこの惑星でも部品が揃うので、重宝されている宇宙船だ。
宇宙船の船体の曲線が美しく、女子受けがいい可愛い宇宙船でもある。
サラもお気に入りだ。
その可愛い宇宙船に、宇宙ステーションから出てきた宇宙船が近づいてきた。
スサノオ級円盤型宇宙船と同規模の、似たような円盤型の宇宙船だ。
ただ、あまり可愛いとは言えない宇宙船だ。
宇宙船内にいるアローン兵は微動だにせず、動く気配は無かった。
対照的に、子ども達は宇宙船内を、無邪気に走り回っていた。
映像無線受信を告げるランプが点くと同時に、子ども達が
「サラおねえちゃん、無線受信、無線受信」
と無邪気に叫んだ。
無邪気な子ども達を見ながら、14歳のサラは羨ましく感じた。
大人がいれば、14歳のサラだって、この子達の様に無邪気に振舞っていたはずだ。
今のサラが深刻な表情を崩せない理由は、この宇宙船内で一番年長ってだけの理由だ。
サラの不安を察してか、13歳の少年のロクが神妙な顔してすぐ隣に立っていた。
ちょっと頼もしい。
サラが映像無線の回線を開くと、アンドロイドにしては表情が明るい宇宙ステーション・アントン所属のヤーシャが出た。
スクリーンに映るヤーシャの姿は、人類そのものだった。
不自然さもなく、アンドロイドと言わなければ、きっと気づかない。
でも何がって訳じゃないけど、心のどこかで違和感は感じた。
「ご機嫌いかかですか?」
ヤーシャは愛想良く微笑んだ。そして、表情を謝意の表情に変え、
「地上では宇宙港職員の手違いが在った様で失礼しました」
と謝罪した。
「手違いで、職員の手違いで爆発が起こるの?」
とまとわりつく子どもを抱きかかえながら、サラは言った。
「今は謝る他、ございません。
謝意として、あなた方が要望していた食料を持参しました。
お気に召すが解りませんが・・・。」
と言うと、とうもろこしを見せた。
それを見た宇宙船の子どもたちが
「とうもろこしだ!食べたーい」
と歓声を上げた。
「爆発による破損の修理も致しますので、宇宙ステーション・アントンに寄港して頂けないでしょうか?」
「それが条件って事?」
「理解が早くて助かります」
既に宇宙船内の食料は、底を着き始めている。
だからといって、宇宙船を爆破しようとした連中を信じられる?
サラは抱きかかえる子どもの柔らかさと体温を感じながら、じっと考えた。
「焼きとうもろこしは、美味しいよね」
隣でロクが言ったので、サラは
「そうね」
と答えた。
つづく
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