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『遠い星の話』  作者: 五木史人
6章 少女の生真面目さと・・・
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4話 女子受けがいい可愛い宇宙船

『大気圏外・人類を乗せた宇宙船』




人類が乗っている宇宙船は、スサノオ級円盤型宇宙船。

この銀河系では、汎用性がすぐれ、比較的故障も少なく、どこの惑星でも部品が揃うので、重宝されている宇宙船だ。


宇宙船の船体の曲線が美しく、女子受けがいい可愛い宇宙船でもある。

サラもお気に入りだ。


その可愛い宇宙船に、宇宙ステーションから出てきた宇宙船が近づいてきた。


スサノオ級円盤型宇宙船と同規模の、似たような円盤型の宇宙船だ。

ただ、あまり可愛いとは言えない宇宙船だ。



宇宙船内にいるアローン兵は微動だにせず、動く気配は無かった。


対照的に、子ども達は宇宙船内を、無邪気に走り回っていた。



映像無線受信を告げるランプが点くと同時に、子ども達が

「サラおねえちゃん、無線受信、無線受信」

と無邪気に叫んだ。


無邪気な子ども達を見ながら、14歳のサラは羨ましく感じた。

大人がいれば、14歳のサラだって、この子達の様に無邪気に振舞っていたはずだ。


今のサラが深刻な表情を崩せない理由は、この宇宙船内で一番年長ってだけの理由だ。

サラの不安を察してか、13歳の少年のロクが神妙な顔してすぐ隣に立っていた。


ちょっと頼もしい。


サラが映像無線の回線を開くと、アンドロイドにしては表情が明るい宇宙ステーション・アントン所属のヤーシャが出た。


スクリーンに映るヤーシャの姿は、人類そのものだった。

不自然さもなく、アンドロイドと言わなければ、きっと気づかない。


でも何がって訳じゃないけど、心のどこかで違和感は感じた。


「ご機嫌いかかですか?」


ヤーシャは愛想良く微笑んだ。そして、表情を謝意の表情に変え、


「地上では宇宙港職員の手違いが在った様で失礼しました」


と謝罪した。


「手違いで、職員の手違いで爆発が起こるの?」

とまとわりつく子どもを抱きかかえながら、サラは言った。


「今は謝る他、ございません。

謝意として、あなた方が要望していた食料を持参しました。

お気に召すが解りませんが・・・。」

と言うと、とうもろこしを見せた。


それを見た宇宙船の子どもたちが

「とうもろこしだ!食べたーい」

と歓声を上げた。



「爆発による破損の修理も致しますので、宇宙ステーション・アントンに寄港して頂けないでしょうか?」


「それが条件って事?」


「理解が早くて助かります」



既に宇宙船内の食料は、底を着き始めている。

だからといって、宇宙船を爆破しようとした連中を信じられる?


サラは抱きかかえる子どもの柔らかさと体温を感じながら、じっと考えた。



「焼きとうもろこしは、美味しいよね」

隣でロクが言ったので、サラは

「そうね」

と答えた。



つづく




いつも読んで頂き、ありがとうございます。

毎週、日曜日に更新です O(≧∇≦)O イエイ!!

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