【完結】追放『泥水』錬金術師、隣国で精霊の残湯スープを売る。国王も絶賛する「悟りの味」の正体はただの〇〇!? バレたら火炙り確実だけど、みんな幸せそうだからヨシ!SDGs営業中。
CWAVE の第一・第三日曜 21:30-22:00
「みちこの寄り道くまもと話」投稿テーマが「おつまみ」と言うことで、投稿原稿書いてるつもりがこんなストーリになりました。
ラジオで読んでいただくことが目的でもなく、自身の不思議な感覚といただいた「おつまみ」を組み合わせてみました。
ご丁寧にみちこさんが意見までいただいた。
御指摘いただくとは思ってもいませんでした。3遍のストーリを一つにまとめ、記念にアップしておくつもりなのが始まりです。
第7章(追加情報) 衝撃の告白。あるいは、究極のSDGs
さて、ここで一つ、読者の皆様に告白しなければならないことがある。
俺はこの物語の中で『スープを作っている』とか『錬金術で調合している』などと、もっともらしいことを言ってきた。
人々も、俺の料理を『奇跡のスープ』だの『悟りの味』だのと涙を流して絶賛している。
だが、厳密に言うと、俺は一度たりとも料理をしたことはない。
俺が毎日、厨房でやっていること。
それは、大鍋にたっぷりの水を張り、適当な薬草(入浴剤代わり)を放り込み、そこにお湯が大好きなこの毛玉(精霊)を「チャポン」と浸からせているだけだ。
そう。
あの黄金色に輝く至高のスープの正体。
それは――精霊様が入浴した後の、濃厚な『残り湯』である。
もっと正確に言おう。
あの芳醇な香り、複雑なコク、そして茶色く濁った独特の色合い。
あれは全て、毛玉の身体から染み出した『垢』と『汚れ』だ。
精霊というのは、大気中の穢れや人々の負の感情をスポンジのように吸い取って生きている。そして、温かいお湯に浸かることで、体内に溜まったそれらの不純物をデトックス(排出)する性質があるのだ。
つまり、あの行列を作っている人々がありがたがって啜っているのは、精霊の老廃物が凝縮された高濃度の排水に他ならない。
『……リュカよ。背中が痒い。掻いてくれ』
目を覚ました毛玉が、のんきな声を上げる。
「はいはい」
俺はブラシを手に取り、毛玉の背中をゴシゴシと擦った。
すると、金色の毛の隙間から、パラパラと茶色い粉末や黒いカスが落ちてくる。
『あぁ〜、そこそこ。気持ちいいのう。……おっ、今日はだいぶ溜まっておるな』
毛玉から剥がれ落ちた垢が、鍋の残り水に溶け出し、ジュワワ……と茶色い色を濃くしていく。
強烈な獣臭さと、脳を直接痺れさせるような芳香が立ち込める。
これだ。
この汚れこそが、国王陛下が涙を流して絶賛した『特濃スープ』の素である。
「……なぁ、相棒」
『なんじゃ?』
「前の国の王様が、俺たちのスープを『泥水』って言っただろ?」
『うむ。失礼な奴じゃった。ワシの極上の出汁をなんと心得るか』
「でもさ、よく考えたら、あれってあながち間違いじゃなかったよな」
俺はブラシで擦り落とされた大量の垢を見つめながら苦笑する。
材料は水と、精霊の身体から出た泥のような汚れのみ。
物理的な成分分析をすれば、それは間違いなく汚水だ。あのジェラール王の味覚は、ある意味で誰よりも正確だったのかもしれない。
『馬鹿を言うな』
毛玉はふん、と鼻を鳴らし、湯船の中で偉そうにふんぞり返った。
『これはただの汚れではない。神聖なる“聖・垢”じゃ。人間どもがこれを有難がって飲み、勝手に幸せになり、精神が安定するのだから、WIN-WINというやつであろう? リサイクルこそが今の時代の流行りじゃろ?』
「……まあ、そうだな」
俺は錬金術師。
物質の価値を変えるのが仕事だ。
たとえそれが精霊の垢であっても、飲む人が幸せになり、国が平和になるなら、それは『泥水』ではなく『霊薬』なのだ。
……まあ、死んでも真実は言えないけどな。
もしバレたら、感謝されるどころか、俺は間違いなく広場で火炙りにされるだろう。
「よし、明日の仕込みをするか」
俺は鍋に新しい水を張り、毛玉を再び投げ込んだ。
水は見る見るうちに茶色く濁り、極上の香りを放ち始める。
隣国の王様も、高貴な貴族も、みんな俺の『洗い物』を待っている。
さあ、明日もたっぷり、この薄汚れた相棒の背中を流してやるとしよう。
(完)
ストーリーはどうでしたか?私の創作はまだまだ続くよ。
少しでも楽しんでいただけて、良い暇つぶしになっていたら嬉しいです!
実は、もっとみんなと作品についてお喋りしたくて、ミクチャで平日17時から19時くらいで配信をしてます。ただし、創作優先&リアル優先で、おやすみあり イベント目的じゃないからアイテムいらないよ
感想を聞かせてもらったり、創作の裏話をしたり……そんな双方向のやりとりができるのを楽しみにしています。
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ぜひ検索して覗きにきてくださいね。
それでは、また次のストーリーでお会いしましょう!




