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キスと魔法と××と~幼馴染みは両片想い!【嘘の魔法で7年間お預け状態。じれ甘恋物語】  作者: 静林


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7/7

映画館は御用心 4

雫、ピーンチ!!!

 駿が「デート」を否定しなかったことが嬉しくて、美玲は「私たちも並びましょ」と腕を組んだまま、先程より後方に並び直した。


 俯く雫の前を大介が、大きなバケツ容器のポップコーンとジュースをトレイに乗せて歩く。

 そして、すれ違いざまに駿の耳元で「お・さ・き」と告げると、駿には目も合わさないままの雫と共に館内に行ってしまったのだった。


 そんな2人を目で追っていると美玲が「あの2人、やっぱりつき合ってたんだね」と声を弾ませる。

 「つき合ってる」という現実を突き付けられた駿は、美玲の腕を振り払うことも忘れて、気持ちは深い谷に叩き落されたのだった。


 雫のほうも、仲良く腕を組んだ駿と美玲のデート現場に遭遇したことで相当に参ってしまった。

 あの2人がどこの席に座るか、確かめたいという好奇心すら湧いてこない程に。


 「彼女ができた」という噂は耳にしていたし、何度も一緒にいるところを目撃してきた。

 それでも、「サッカー部の選手とマネージャーの関係でしょ」と思いたかったのだ。


 隣で落ち込む雫を見て、大介はコットンジャケットのポケットからキャラメルを1粒取り出して、手の平に乗せた。


「このキャラメル1粒で何メートル走れるでしょうか?」


 キャラメルを乗せた手を雫の前に差し出す。


「えっ?」

「正解したらあげる」


 いきなりのクイズに驚くが、下を向いていた所為で彼に気を使わせたことに気付き、急いで気持ちを切り替える。


「う~~ん。・・先輩、いつも持ってますよね。わたし、先輩が走る前に口に放り込むのを何度か見たことあるんですよねぇ。・・ということは、カロリー高め?」


 大介の表情を見るが、ポーカーフェイスを保っている。


「ヒントないですか?」

「ないよ」


 雫は握り拳を顎にあてて考える。


「じゃあ、100メートルで」


 大介が目を見開いて「おおー」と感心するような声を出した。


ーもしかして、当てちゃったかな?


 得意げな目つきで大介を見て、ニコッと微笑んだ。


「ファイナルアンサー?」


 雫は大袈裟に頭を下げて、少し迷った仕草をしてから頷く。


「すみません、当てちゃって。ファイナルアンサーです」


 大介が雫の顔を覗き見て、ちょっと悔しそうな表情をする。


「うん……残念!300メートルでした」

「いやぁ、くやしい」


 手の平のキャラメルを摘まみ、改めて見る。


「こんなに小さいのに意外です」

「そう。約17キロカロリー。俺は5000メートル走るから、17粒食べなきゃいけないんだ。1箱8粒入りだから、2箱じゃゴールできない。

 想像してみて。300メートル毎にオレが1粒ぱくって口に入れてるの。それで、ゴール手前でカロリー切れになって倒れるんだ」


 思い浮かべて、雫はケラケラ笑った。


「先輩が止まったら、わたしがゴール手前まで走って行って、1粒補給しますね」


 そう言うと雫は包みを開けて「いただきます」と口に放り込んだ。


 大介のキャラメルの話のおかげで明るさを取り戻した雫。

 その姿を3列後方に座った駿が睨んでいる。


ー何を話してるんだよ!クソッ、楽しそうにしやがって!


 駿のほうを見ない雫にイライラする。

 後ろから見るとイチャイチャしているようにしか見えないのだ。


「仲良いんだ。あの2人がつき合ってるって噂は、本当なんだね」


 駿にわからせようと何度もその台詞を口にする。

 目障りな恋敵が消えて嬉しくて仕方ない。


「映画の後、ショッピングにつき合ってくれるんでしょ?知世子たちも行くって言ってるし」

「あ、ああ」


 前方で楽しそうに寄り添う2人が気になって、美玲の言葉は全く耳に届かなかったが、無意識に相槌を返していた。


 そして消灯して上映開始となったのだった。



 2時間45分の映画を雫は存分に楽しんだ。


 原作を何度も読んでいたので、ラストまでの筋は知っているが、演者がいると違った面白さがあって、新鮮な感情で観ることができた。

 特に今回は、「推し」の俳優が犯人役だったので、最後自首する前に縁側でヒロインと今川焼を食べるシーンで涙ぐんでしまった。


「ちょっと、お手洗いに行ってきます」


 映画館を得る前に大介に告げて化粧室に向かう。


「じゃあ、グッズの所で待ってる」


 そのやり取りを背中越しに聞いていた美玲は知世子に「トイレ行きたい。 メイク直したい」と言って、手を引っ張って雫の少し後に続いて行った。


 雫が個室トイレに入ったのを確認してから、洗面台の鏡でメイクを直しながら話し始める。


「ねえ、この後、知世子たちもランチしてからショッピング行くんでしょ?」


 扉の向こうにいる雫にもしっかり届くよう、大きめの声で、しかも自分と知世子の会話だとわかるように喋る。


「うん。安くんに靴を選んでもらうことになってる。美玲も駿くんと行くよね?」

「もちろん。でも、ああ見えて駿って私と2人きりになると強引になるタイプだから、買い物は知世子たちがいてくれたほうが助かるのよ。2人だと、ほらぁ、べたべたするのって恥ずかしいじゃない?駿はすぐ手を繋ぎたがるしぃ。誰かに見られたら嫌だわぁ」


 甘ったるい声で話している。

 これ以上聞きたくない雫は、さっさとトイレから出て行きたいのだが、一方で「2人の関係は本当のところどうなの?」を知りたかった。

 扉に手をかけたまま動きは止まっていたのだ。


「今日も、一緒に来れて良かったね。・・・ねえ、それでさぁ、駿くんとは、どこまで?」


 知世子はこの化粧室に雫がいることを知らない。


 雫の鼓動が大きくなってきた。


「ええ~、それ聞くぅ?・・・どこまでって・・・誰にも言わないでよ。

 駿が怒るから」


 美玲が鏡に映る個室トイレのドアを見ながら言う。

 雫は喉がカラカラになっていた。


 

明日から毎日20時10分に1話ずつ公開していきます。

完結まで毎日更新しますので、20時10分を楽しみにしていただけるとうれしいです。


連載中のこちらもじれったいですが、完結作の『いつかの先に逢えるまで』では、神子様との同居生活が更に甘い恋愛に繋がります。最後まで一気読みできます!こちらもどうぞ。


奈落の底に落ちるのは、雫だけではありません。

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