表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キスと魔法と××と~幼馴染みは両片想い!【嘘の魔法で7年間お預け状態。じれ甘恋物語】  作者: 静林


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/46

事件とデートは嵐の予感 3

 昨日、久賀建設に捜査が入ったと聞いて雫も駿も焦ったが、遠山議員と繋がりのある企業に同時に入ったということだった。

 事前に情報が洩れて、資料が隠されないようにするためだ。

 直前まで久賀建設にも容疑がかかっていたのかも知れない。


 朝6時に捜査が入り、久賀建設は数時間で数個の段ボールに資料を詰めて持って行かれただけだった。

 一方で容疑が濃い会社は夜までかかり、大量の書類とデータを持って行かれたと言っていた。


 捜査が入ったことで疑われるのかも知れないが、母が「ウチはシロ」とはっきり言い、実際に誰も逮捕されていないのだから、そうなのだろう。


「美玲はどうなるのかな」


 友人としては好きではないが、同級生としては気になる。


「さあな。この学校に通い続けるかどうか…」

「駿は平気なの?つき合ってるのに心配じゃない?」

「はあ?つき合ってないし」

ー好き、大好きって言ってたクセに。まあ、今はいいか。


 雫はそう思って空を見上げる。


「良い天気だね。もう2限目始まってるから、終わるまでここでサボろうか」

「そうだな。オレ、サボったのは人生で初めてだ」

「わたしだって」


 2人で空を見ながら、終了のチャイムが鳴るまで「今晩、何食べたい?」と話して待った。


 「サボったのは初めて」だと言った2人だったが、学園に多額の寄附をしてきた遠山議員が逮捕されたことで、教職員の間でも大騒ぎになり、「2限目は自習」と全館放送が流されていた。

 ただ、図書館裏の2人にその放送は届かず、教室に戻ってから「助かったぁ」と呟いた。

 結局、雫も駿も「初サボり」扱いにはならなかったのだった。


          *          *


 母からの連絡通り、その後3日間は駿との「同居生活」となった。

 小さいころから何度もお泊まりに来ていたし、一緒にお風呂に入ったり、同じ布団で寝たことだってある。

 それでも中等科に入ってから泊まりに来たのは、多分今回が初めてだ。

 「おはよう」から「おやすみ」まで言うのは、何となく気恥ずかしい幼馴染み2人であった。


「年末が近づくと、バラエティー番組が増えるよね」

「オレ、この映画を劇場に観に行けなかったから、今晩一緒に観よう」


 普段は滅多にテレビを観ない雫と駿がリビングのソファで並んで座る。

 テーブルにはポテチやジュースを置いて、完全に2人の世界を作っていた。


ーああ、楽しいな。


 2人とも同じことを考えて、いつもなら笑わないようなシーンでも顔を見合わせて笑ったのだった。


 そんな2人の微笑ましい姿を、両親が邪魔することなく眺めていた。


          *          *


「なぁ、明日のクリスマスイブ、東京に行かないか?」


 居候生活も終わり、2学期の終業式の登校途中に隣を歩く駿が誘ってきた。

 逮捕騒動以降、これが当たり前のスタイルだというように「駿が雫を迎えに来て、一緒に登校」という流れが戻っている。


「いいよ。夜はお年賀の和菓子の手伝いがあるけど、夕方までは出掛けても大丈夫だから」

「良かった。実は、ERABLE HOTELのクリスマスビュッフェのチケットを買ったんだ」

「もしかして…美玲と行くつもりだったとか?」

「有り得ないし!」


 語気を強めて否定する。

 美玲は父親が収賄の容疑で逮捕された日から、登校してくることはなかった。

 すぐに転校の手続きを済ませて、北海道の親戚の家に引っ越したらしい、と様子を見に行った知世子と安則が説明してくれた。

 「そりゃあ、そうなるだろうな」と皆が口にしたのだった。

 日頃から「パパは国会議員になる」と言っていた美玲を良く思わない同級生がいかに多かったか、今回のことではっきりわかる。


 当然、つき合ってたと噂されていた駿も周囲から好奇の目に晒され、終業式の今日まで、「美玲とどうなった?」と何度も聞かれて、そのたびに嫌な思いをしているのだ。

 それは、はっきり「つき合ってない」と公言してこなかった自分の所為だと諦めていたが、こうして雫の口から美玲の名前が出ることは到底我慢できなかった。


「美玲とは付き合ってないし、アイツと行くために買ったわけじゃない。いい加減、アイツのことは言うなよ」

ーこれ以上言うと、本気で怒らせちゃうな。


 多分、美玲とはこれから先も会うことはないだろう。


「もう言わない…多分」


 最後の一言は、今までの仕返しのつもりだった。

 駿は口を尖らせて横目で睨む。



 家に帰ってから、早速「ERABLE HOTEL クリスマス」で検索してみた。


   ”今年のクリスマスは、大切な人とERABLE HOTELで”


 『大切な人』と濃いピンクで強調された文言に胸が熱くなる。

 それに続いて「今年のビュッフェはチョコレートと甘いストロベリー」と書かれてあり、たくさんのショートケーキがびっしりと並べられた写真が載せられていた。

 最後に『チケット完売』。


 駿が自分とこのビュッフェに行こうと思って、いつチケットを買ってくれたのかわからないが、早々に完売になったようである。

 このホテルは特別な伝説を持っているだけに、素直に嬉しかった。


『ERABLE HOTEL の最上階バーラウンジでクリスマスにプロポーズすると100%成功する』


 そう言われているのだ。

 そのシチュエーションに多くの女性が憧れている。


 駿がこの伝説を知って、このホテルを選んでくれたのかを聞くつもりはない。

 18歳でプロポーズされるはずがないし、駿から「好きだ」と言われたことがないのだから。

 それでも、あと何年かしたら、そうなって欲しいと夢見るのは勝手でしょ、と思うのだった。


 実は、全て駿は計算していた。

 ロマンチック好きな雫のために、発売前から「伝説のホテル」のクリスマスビュッフェのチケットを狙い、発売開始と同時に「購入する」とクリックしていたのだ。

 なんと、それは2か月も前のことだった。


クリスマスに何かが起こるのは当たり前なのですが…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ