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キスと魔法と××と~幼馴染みは両片想い!【嘘の魔法で7年間お預け状態。じれ甘恋物語】  作者: 静林


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事件とデートは嵐の予感 2

 雫の家に着くと、やっと気持ちが落ち着いてきた。

 客間で荷物を解きながら、先程雫の両親から聞いた話を整理する。


 雫は関係がないから、ということで駿だけが台所に呼ばれた。


「今朝、駿くんが家を出た少し後に、いきなり久賀建設の本社に捜査…調査が入ったのよ。テレビで見るような、数人が段ボールを持って入ってくるっていう、アレね。理由は、詳しく聞いてないけど、金銭が絡んだ事案みたい。暫くはそれで会社も、おそらく家にも調査が入るだろうから、駿くんを預かるよう頼まれたの」


 「調査」と言い直しはしたが、「家宅捜査」というヤツだろう、と駿でもわかる。

 やはり犯罪に関わっているのだろうか。

 同じ言葉で雫の父が駿に話す。


「恐らく犯罪に関わる案件についての捜査だろうが、久賀建設は間違いなく潔白だから安心してここに居たらいい」


 雫の父に言われると力が湧いてくる。

 ただ、自分が聞いた「遠山議員、500万円、…」の話は雫の両親には言わなかった。

 大河内の家族は、知らなくて良いことだ。

 もしも、自分の両親が間違ったことをしていたら、胸を痛めるし迷惑をかけるだろう。

 それで一応確認をする。


「オレを預かることで大河内の家に迷惑はかかりませんか?」

「それは心配しなくて大丈夫。別に匿ってるわけじゃないんだからね。久賀さんも駿くんの居場所を聞かれたら、ここにいることは言うだろうし」


 ここで隠れているのではないと聞かされて安心した。


「ところで、学校には行けるんでしょうか?」

「それは問題ないわ。堂々としてればいいのよ。ただし、まだ表には出ていないことのようだから、駿くんは何も知らないっていうスタンスでいてね。いつも通りでね」

「はい。わかりました」


 期限のわからない居候となり、「暫くお世話になります」と言って深々と頭を下げた。



 ほとんど荷物の整理を終えたところに「駿、入っていいい?」と雫がやって来た。

 雫の部屋は2階で、駿が与えられた客間は廊下を挟んで台所の向かいだ。


「いいよ。ちょうど片付けが終わったから」


 雫は扉を開けたまま、入り口に膝を抱えて座った。


「大変なことになったみたいだね」

「うん」

「わたしは、何も聞かないほうが良いんだよね」

「そうだな。実際、まだよくわかってないみたいだし。・・・とはいえ、大体の予想はできるよな」

「明日、学校には行けるの?」

「行ってもいいけど、何も知らないフリをして、いつも通りにするようにって」

「もう、みんな知ってるのかなぁ」

「さあ、内密に動いてるって言ってたから、まだ誰も知らないかも。でも誰かが見てたら、あっという間に広がるよな」

「そっかぁ。駿が一時でも白い目で見られるのは嫌だな」

「大丈夫。おじさんが、安心しろって言ってくれたから、堂々としてるさ」

「うん。・・・一緒に登校しようね」

「うん。・・・えっ?」


 駿は思わず雫の顔を見た。

 こんな形で「一緒に登校」が復活するとは。


「美玲に見られるとマズいだろうから、せめて電車に乗るまで一緒に行こうよ」


 雫が言う「美玲に見られるとマズい」というのは、駿と美玲がつき合ってるから、という意味ではない。

 あの5つのワードに「遠山議員」と彼女の父親の名前が入っているので、できるだけ刺激しないほうがよいだろう、という意味だ。


「そうだな。暫くは『あの5つの言葉』に関わるものから雫は距離を取るほうが安全だよな」


 雫は駿を気遣って言ったのだが、駿はあくまでも雫のことしか考えてなかった。


「わたし、美玲のことはあんまし好きじゃないけど、不幸にならなければ良いとは思ってるんだよ」

「雫は優しいからな」


 雫は抱え込んだ膝の間に顔を埋めて「ちっとも優しくないよ」と呟いた。

 駿も隣に腰を下ろして、彼女の頭をゆっくり撫でる。


「オレは雫と違って関係者の家族だから、美玲の心配をしてやるほど余裕はないよ。父さんと母さん、それと会社が守られるように祈るだけで精一杯なんだ」


 顔を埋めたまま、雫は「うん」と頷く。


「いつまで続くんだろう。早く解決して欲しいな」


 そう駿が願ったとおり、事態が動くのに時間はかからなかったのだった。


          *          *


 翌日、登校すると美玲は休みだと聞かされた。

 それを聞いて駿は、美玲の家にも動きがあったのだと直感で思った。

 欠席するなら100%駿に連絡があるはずだからだ。


 隣のクラスの雫の耳にもその情報は届き、「何かあった」とこちらもピンときた。


 念のため、雫と駿はそれぞれの親からの連絡を期待して、授業中も机の中でスマホを握り続けた。


 1限目が終了した休み時間、急に学生たちがスマホを見ながらざわつき出す。

 同じクラスの知世子が「ウソー!何でよー!」と悲鳴を上げた。

 雫も急いでネットニュースを開く。


「今朝、逮捕された遠山議員と川添建設の川添容疑者は…」


 食い入るようにニュースを見ていると、「雫」と駿が教室に入って来て、彼女の腕を掴むと図書館裏まで一気に走った。

 2限目の開始チャイムが鳴っても、それを気にすることなく走る。

 人のいない図書館裏に着くと、2人とも息が切れていた。


「か、か、かあ…さんから、メールが…きたんだ」


 そう言って、スマホの画面を見せた。


   ”遠山議員と川添建設の社長が、池尻駅再開発に関しての贈収賄容疑で今朝6時に逮捕。勿論、久賀建設は無関係で、何もなし”


「良かったぁ」


 雫はお腹の底から安堵の溜め息を吐いて、その場にしゃがみ込んだ。

 安心すると力が抜けてしまったのだ。


「ホントに良かったね」


 その時、同じ内容のメッセージが雫にも届いた。

 彼女のほうには続きがある。


   ”追伸。駿くんの家はまだごたごたするから、あと3日、ウチに泊まることになってるよ”


 それを2人で見てから顔を見合わせて、一拍置いて同時に泣き出してしまった。

 昨日からの緊張で、2人とも食欲もなく睡眠も十分取れていなかったために、ひと晩で状況が好転したことで、ある意味「拍子抜け」してしまったのだ。

 涙と鼻水でぐずぐずになったお互いの顔を見ても、幼馴染みだからこそ「恥ずかしい」と思わなかったのだった。


「もう少し長期戦になると思ったのにな」


 足元に無造作に置かれたブロックに並んで腰を下ろした。


事件は一段落し、日常が戻るかと思ったら…

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