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キスと魔法と××と~幼馴染みは両片想い!【嘘の魔法で7年間お預け状態。じれ甘恋物語】  作者: 静林


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平穏の後の胸騒ぎ 2

 待合室は寺を参りに来た人が休憩するための部屋で、会議用長テーブルが10台とパイプ椅子が50脚ほど並べられている。


 今日は駿の他に利用する者はいないようで、クーラーが良く当たる端のテーブルを使わせてもらうことにした。


 夏休み中受講している予備校主催のオンライン授業が始まるまで、まだ30分はある。

 テキストとノートを広げて開始時刻を待つ間、いろいろな「噂」について考えてみた。


ーそういえば、なんで大学受験の一番大事なこの時期に、北原先輩は雫につき合おうって言ったんだろう?


 確かに、誰が考えてもおかしな話なのだ。

 陸上部エースである大介は東川北学園だけでなく、他校の何人、何十人という女子から熱い内容の手紙やメールを送られていたのは有名な話だ。

 下校する大介を校門で「出待ち」する女学生もいた。

 にもかかわらず、頑なに彼女を作らなかったのだ。


 表向きは「特定の女の子とつき合ったら他の女の子に申し訳ない」なとど言ってきたようだが、雫に告白する程深い関係にあったか?

 茶道部終わりに余った和菓子を食べにきただけじゃないか。


 駿は「どう考えても説明がつかない」と首を捻る。


 雫にしたって、一番近くにいた駿が、彼女の口から大介の名前を度々聞いたわけでもない。

 殆ど聞いたことがない、と言ってもいいくらいだ。


 少しずつ、「何か理由があるに違いない」と思い始めた。


 ただし、雫には聞けない。

 理由があるなら、雫は絶対に明かさないからだ。

 確かめるなら、大介のほうを探るしか手がない、と考えた。


ーこの期間は東京にある医学部専門予備校の夏季合宿で、渋谷って言ってたよな。


 ネットで雫から聞いた情報で検索をかけると、すぐに分かった。


 来週、雫のバースデープレゼントを買うために秋葉原に行く予定なので、その時に渋谷に行くと決めた。

 大介に会えるかどうかわからないし、そもそも勉強するために合宿に参加してるのだから、余計なことをしたら雫に怒られるのはわかっている。

 それでも、今の状態でウジウジ悩むのは「らしくない」と思ったのだ。


ー行くしかないよな。


 少し気持ちの整理がついたところで、オンラインの授業開始の時刻になった。


          *          *


「あ~あ、足がしびれたぁ~」


 2時間に渡るお茶会が終了すると、慣れない着物と足袋姿の学生たちが、足を前に伸ばして寛ぎ始めた。

 東川北学園と岡崎高校の茶道部は交流歴が長く、部員たちは皆知った顔なので、混ざり合って楽しそうに会話している。


「ゆっくり足を伸ばして休憩してくださいね。15分後にお弁当を運んできます」


 食事担当の学生がそう告げて食堂に行った。


 茶道は良くできたシステムで、お茶会が終わると畳の上には釜以外の道具は全て水屋に下げられているのだ。

 だから、亭主が手を突いて頭を下げ、ふすまを閉めると、それが終了の合図となる。


 次の食事のために全員でテーブルと座布団を並べていく。 

 見知った女学生が10人も集まれば、あっという間に賑やかなパーティー会場となった。


 この時点で既に「今回の合同お茶会は成功」と言えた。

 水屋で宮野先生と愛華、雫は「お疲れさまでした。あと少しですね」と声を掛け合う。


          *          *


「駿、お待たせ。今お父さんに連絡したから、もうちょっとしたら迎えに来るよ」


 女子たちの話が盛り上がったのだろう。

 予定より30分近く時間が過ぎている。


「なあ、雫。せっかく新しい着物姿だし、一緒に写真撮ろうぜ」


 駿がスマホの電源を入れようとすると、雫が「あ、わたしので撮って!」と手渡してきた。

 それを受け取って、ジンバルに固定するとスタンバイOKで雫を待つ。


 雫は髪と襟元を整えてから、駿の身体にぴったりと寄り添ってポーズを決めた。

 彼女の髪が頬を掠める。

 それを意識しながら2度シャッターを切った。


「オレのにも送ってよ」

「うん。あ、わたし1人のも撮って」


 今度は駿の前に立って、可愛い笑顔を向けて来た。


ーこれは、反則級の可愛いさだ!


 雫が大好きな駿に向ける笑顔は、昔から特別なのだ。

 意識しているわけではないのに、誰が見ても「恋する乙女」になっている。


ークソッ!オレのスマホで撮れば良かった。そうすれば何枚でも撮れたのに!


 ここに着いた時に撮影したのも、雫の父のスマホである。


「これもオレに送ってくれるだろ?」

「ダーメッ!これは先輩に送るの。約束してたから」

「じゃあ、オレも撮っていい?」

「ダーメッ!」


 可愛く拒否られてしまった。

 着物姿の「可愛すぎる1枚」をゲットすることができず、悔しさだけが残った。

 大介だけが貰えるというのが、特に不愉快極まりない。


ーでも、ツーショットのは貰えるだろうから、大きな収穫だよな。


 そう自分に言い聞かせたのだった。


 ところが、夜になって送られてきた写真は2枚!


「うやっほーっ!!」


 1番欲しかった雫の写真も届いたのだ。


   ”今日はお手伝いしてくれてありがとう。これが報酬でもいい?”


「いい!いい!!ぜーんぜん、いい!!!」


 データが消えないように早速パソコンのファイルに保存して、何度も眺めた。


 こっそりプリントまでして机の引き出しに入れたのだった。


 そして、雫も駿とのツーショット写真をサッカーのシュートの写真と同じように「駿」のファイルに保存したのだった。


          *          *


次回、駿は東京で大介の〇〇を見てしまいます。

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