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キスと魔法と××と~幼馴染みは両片想い!【嘘の魔法で7年間お預け状態。じれ甘恋物語】  作者: 静林


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1/8

プロローグ

本日より完結まで毎日走り続けます!

初日は一挙5話公開します。 この後30分おきにお楽しみください。


幼馴染みのすれ違いラブストーリーの開幕です!


「雫、北原先輩とつき合うって本気かよ」


 いわゆるこれは「壁ドン」である。


「こんなことで嘘ついたりしないよ」


 さらりと言葉を返して、とっとと台所から出ようとするが、扉側の通路を駿の筋肉質の腕で遮られてしまっているために、少々面倒くさいことになっている。


「ねえ、もう用事は済んだんだから、腕をどけてくれない?」


 20センチも目の位置が違うと、見上げる雫と見下げる駿のどちらも迫力がある。


 「ああ、用事って山菜おこわを届けてくれたこと?・・・ありがと」


 壁に手を突いたまま、テーブルに置かれた山菜おこわが入った弁当箱をちらりと見て、すぐに雫に視線を戻した。


「雫の用事は済んだんだろうけど、オレのほうはまだ聞きたいことがあるから、このまま帰すわけにはいかない」


 彼の性格は熟知している。

 こういう場合、いつも彼が納得するまで彼女を解放することはないのだ。


 諦めて「ふうっ」と溜め息を1つ吐き、「聞きたいことって北原先輩のこと?」と目を細めて冷めた言い方をしてみる。


「そう。なんで?いつから?どういう経緯で?・・・そもそも本気なのか?」

「いつから?・・・映画に行った少し前くらい。どういう経緯で?・・・部活終わりに和菓子を食べながら話してるうちに告白された。

それで・・・ああ、本気なのかって?・・・当たり前じゃん。高2になって好きじゃなきゃ、つき合わないでしょ?」


 雫は片方の口角を上げて挑発的な態度を取った。


ーああ、怒ってるんだ。


 駿は顎を少し上げたまま雫を見下ろし、眉間に皺を寄せる。


「幼馴染みってことで直々に報告してあげたんだから、もういいでしょ?」


 下唇を噛む駿。


ーこれ、相当怒ってるなあ。


 そもそも、こういう伝え方をすれば彼が怒ることは承知の上でやってるのだから、ある意味「思うツボ」なのだ。


「なあ、雫…」


 そう言う駿の言葉と同時に玄関から「雫、帰るよー」という母の声が聞こえてきた。

 さすが母、良いタイミングである。


「わかったぁ。・・・と言うことで明日の朝から迎えに来ないでね」


 ポンと突き放すように言うと、彼の腕の下を潜るようにして「壁ドン」から逃れた。


「雫、つき合うの、やめとけよ」


 怒るというより、命令に近い口調だ。

 背中に投げかけられたその台詞にさすがの雫もキレた。


「報告してあげたんだから、筋は通したでしょ、()()()()ね!

 ・・・駿はわたしに報告してないんだから」


 最後に睨みつけてそう言うと、プイッと身体を反転させて、玄関で待つ母のもとへ行った。


「オレの報告って何だよ…」


 雫が残した最後の言葉の意味がさっぱりわからなかった。


          *          *


 大河内(おおこうち)(しずく)久賀(くが)駿(しゅん)は駿が1か月先に生まれた同級生で幼馴染みである。


 母親同士が大学時代からの親友で、文字通り「生まれた時からの知り合い」なのだ。


 他県の大学で知り合った母親は、どちらも「智美(ともみ)」と「友実(ともみ)」で、おまけにどちらの恋人も桜木町内に住んでいることで「これって、きっと親友になる運命だったんだよ」となった。


 ほぼ同時期に結婚もして、雫の母「智美」は老舗和菓子店「大河内屋」、駿の母「友実」は建築業「久賀建設」に収まったのだ。


 そして、これもまた「運命的」に9月1日に駿が、9月30日に雫が生まれた。


 生まれたときは、母親同士が盛り上がって「絶対に結婚させよう」などと勝手に約束したのだった。


 もちろん親同士の思惑通りに事が進むわけもなく、こうして拗れているのだ。


 雫と駿が小学校に入るまでは一緒に風呂に入ったり、お互いの家に泊まって、同じ布団で寝たことは数えきれないくらいある。


 特に久賀建設は建築ラッシュも伴って、専務である友実が一人息子である駿の面倒を十分に見ることができないため、雫の家で過ごすことが多かったのだ。


 高校2年になった現在でも夕食は雫の家で食べることが多いし、朝も雫を迎えに来て一緒に登校している。


 このスタイルは、駿の思い付きで始まった形ではあったが、雫たちが通う「東川北学園」は駿の家から自転車で20分の所にある。

 にも拘わらず、自転車を5分漕いで雫の家に行き、桜木駅まで5分歩いて高校のある真田中央駅まで1駅、そこから更に10分歩くという何とも効率が悪い、金銭的にも時間的にもロスしかない方法で登校しているのだ。


 かと言って、下校は一緒ではない。


 茶道部の雫とサッカー部の駿、彼のほうが帰りが遅い。

 登校とは逆のルートで雫の家に寄って、夕食をお腹いっぱい食べて、自転車で帰って行く。


 他人から見ると、この通学スタイルは「滑稽」ではあるが、これが駿にとって大切なルーティーンなのだった。


 それを「もう明日から朝は迎えに来るな」とは?


 中等科から続いてきた4年余りの習慣、ただの1度たりとも「面倒だ」と感じたことがない、大切な習慣の終了を突然告げられてしまったのだ。


 ついこの間親しくなった「()()()()」によって。

この後、20時40分に第2話を公開します。

脱字訂正しました。


小学4年生の2人に試練は始まっていたのです。


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