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6話 村を襲う野盗とメイドの刃

 ◆野盗の襲撃とリリアナの帰還◆


 翌日、野盗およそ二十人が村の入り口を塞ぐように陣取っていた。村人を逃がさない様にするためだろう。その集団の真ん中には、小さな女の子ーリリアナの姿があった。


「リリアナ、大丈夫か?何もされてないか?」

「え?……だっ大丈夫だよ、何もないよ」

 ハロルドの問いに、リリアナは俯いて口ごもった。頬を赤らめるその様子に、村人たちは怒りを爆発させ、野盗たちは慌てて弁解を始めた。


「お前らぁ!よくもまだ幼い女の子に!!このケダモノめ!!!」

「貴様らに人の心はないのか!」


「ちょっ、ちょっとまて!」

「俺らはなんもやってねえ!誤解だ!!」

 リリアナの隣にいた二人から、周りの野盗が距離を取った。まるで「俺たちを巻き込むな」と言わんばかりに。



「てめえら!何やっている!!…村長、魔晶石は持ってきたんだろうな」

「ああ、ほれこの通り持ってきている。こいつを渡すから、リリアナを返してくれ」


 村の入り口では野盗の頭と村長が交渉していた。僕はその様子を見ながら、ラピスに待機を指示する。そろそろあの魔晶石に引かれて亡者が現れるはずだ。

 お頭が木箱の中の魔晶石を一つずつ念入りに確かめると、後ろに控えていた部下へ怒鳴った。

「おい、そのガキを後ろにつれていけ!」


 野盗の部下が小さな女の子──リリアナの腕を乱暴につかみ、後方へ引きずっていく。


 それを見た村人たちが、怒りの声を上げる。


「おい、話が違うぞ!リリアナを返せ!!」

「このお嬢ちゃんは取引に使えるかどうかを確認するために連れてきたんだ。これからも魔晶石を持ってくれば命だけは保証してやる」

「くっ……汚い!」


「まさか、その後に”貞操が無事かはわからないがなぁ”とゲスな顔で言うつもりじゃないだろうな」

「なんだと!このロリ〇ン!!ケダモノ!!!」

「きっ貴様ら!もう我慢ならん、てめえら、こいつらを殺――なんだ?」


 その時、野盗の後方から悲鳴が上がった。振り返った野盗たちの顔が驚愕に染まる。

「ひいぃ!亡者だ!」

「逃げろ!」

「てめえら、亡者ぐらいで狼狽えるな!」


 だが、脅しが通じない相手に野盗たちは為す術もなく、混乱に陥る。お頭が怒鳴り散らしても、訓練されていない彼らに統率は取れなかった。


 その隙を突いて、ラピスが双剣を抜き、野盗たちに飛びかかる。


「ぎゃっ!」

「なんだ、ぐはっ!」


 空気を裂くような一閃。風切り音の後、野盗が倒れる。ラピスの双剣は触れたように見えず、ただ軽く凪いだだけのようだった。


「てめえ、村の人間じゃないな」

「いえ、紛れもなくラホ村の村人です。正しくは新しい領主アラン様の忠実なメイドですが」

「新しい領主だと?、お貴族様か…」


「うぎゃあああぁ!!」


 ラピスが【絶対切断ナイトキラー】を発動し、漆黒の刃が静かに形を成す。次の瞬間、彼女の姿が風のように駆け抜け、野盗の男が遅れて絶叫を上げた。すれ違っただけに見えたその一撃で、男の身体は真っ二つにされ、あっけなく死んだ。


「お姉様、素敵…」

 血の雨が降る中、リリアナがうっとりとした目でラピスを見つめていた。幼い少女が、いけない性癖に目覚めた瞬間だった。



 ◆森の影と金髪のメイド◆


 森の木の陰でラホ村で戦いを1人の女性が見守っていた。森には不釣り合いのメイド服に身を包んだその女性の顔はラピスに瓜二つだった。違うところは髪の色くらいだろうか、その髪は金色に輝いていていた。


「相変わらず、自分のご主人様に敵対する相手には容赦しないわね。でも……野盗の体を真っ二つになんて、あの子のギフトはそんなに強力だったかしら?」


 野党の返り血を浴びたラピスにアランが近づき声をかける。絵面だけ見ると猟奇殺人のシーンだ。


「お疲れ様、怪我はない?」

「これは返り血ですので、ご心配には及びません。坊ちゃまが私のギフトを()()()()()下さったおかげです」


「ギフトを作り替えた?今確かにそう言ったわね。……これはお嬢様に報告しなければいけませんね」


 森の中に見えていた金色の光は、まるで最初から存在しなかったかのように、静かに消えていった。



《 マリン・コルネラ 回想 》


バレリーニ家の正門に馬車が止まり、扉が開く。中から現れたのは、淡い青のドレスに身を包んだ一人の令嬢だった。

 彼女の名は――マリン・コルネラ。コルネラ子爵家の令嬢にして、バレリーニ家嫡男アランの許嫁である。馬車を降りたマリンは、アランが出迎えにいない事を不思議に思い、代わりに出迎えにいたアントニオに尋ねた。


「初めまして、コルネラ家のマリン・コルネラです。あの、アラン様は?お姿が見えない様ですが…」

「ようこそ、バレリーニ家へ。アントニオ・バレリーニです。党首がお話があると言って執務室でお待ちです」

 伯爵が?その言葉に一抹の不安を覚えた。だが、もしアランに何かあったのなら、すでに連絡が来ているはず。そう自分に言い聞かせ、バレリーニ伯爵の執務室に向かった。


 執務室に着くと執事が扉を開け、中へ入る様に促した。驚いたことにアントニオと名乗った男の子も後を着いて執務室に入ってきた。


「やあマリン令嬢。ようこそきてくれた」

「ご無沙汰してます、バレリーニ伯爵。それで私に話とは?アラン様の姿が見えませんが」

「うむ、それなんだが…」

 伯爵の歯切れの悪い口調に、マリンの不安は確信へと変わっていく。アランに、何かあったのだ。


「父上、その先は俺から説明します」

「バレリーニ伯爵、こちらはどなたですか?さっき、嫡男などと冗談を言ってましたが」

「マリン子爵令嬢、初めまして。噂に違わないその美貌を目にして、俺いや私の心臓は早鐘を打つほどときめいています」


 アントニオのキザを通り越して気持ち悪い物言いにマリンが汚い物を見る様な目を向けた。が、彼はまるで気にする様子もなく、さらに最悪の一言を口にする。

 それどころかマリンにとって禁句とも言える言葉を口にした。


「あんな()()()ギフト持ちなんかより、俺の方が百倍いいですよ」

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