ep2
「おーい、優希君。そろそろ起きなよ。」
優希君が俺の家に住むようになって数日が経過した。今日は休日だが、体調や習慣を維持するために、久彦さんと久美子さんから、8時までには起こすように言われているので、起きるように声をかけている。しかし、男の子とはいえ、あの見た目のため、部屋に入るのを躊躇してしまっている。
「おーい、優希君。そろそろ8時になるから起きな。今日は買い物に行くんだろ?」
俺がそう声をかけると、部屋の中でごそごそしている音が聞こえた。俺はその音を聞いて、台所で朝飯を作った。久彦さんが呉が生活費と、俺がもともとバイトなどで稼いでいた生活費を足すと、結構余裕を持って生活できるので、優希君一人増えても余裕で生活できている。そのため、今日はバイトも休みなので、優希君を連れて買い物に行こうと思ったのだ。
そうこうしているうちに、私服に着替えた優希君が食卓に着いた。基本、私服がユニセックスの服装を好んでいるため、本当に女の子に見えてしまい今でもどぎまぎしてしまう。
「おはよう、優希君。朝食で来てるよ。」
「ありがとうございます。透お兄さん。お兄さんのごはんおいしいからうれしいです。」
つたく、そんなはにかんだ顔で言うんじゃない。惚れてしまうだろうが。
そんなことは声には出さず、俺も朝食を食べる。優希君は小さく切り分けてゆっくり食べている。俺は自分の分を食べ終わると、優希君が食べ終わるまでコーヒーを飲みながらスマホをいじっていた。
「ごちそうさまでした。」
優希君が朝食を食べ終わる。彼は食器を台所に片づける。
「優希君、水につけておくだけでいいよ。帰ってきてからまとめて洗うから。それより出かける準備してきな。俺も準備しておくから。」
俺がそういうと、優希君は自分の部屋に荷物を取りに戻っていった。俺も、準備をしに自室に戻る。と言っても、貴重品を取りに行くだけだが。準備を終えてリビングで待っていると、優希君が準備を終えて戻ってきた。
「お待たせしました、お兄さん。」
戻ってきた優希君は、薄水色のショルダーバッグを肩にかけていた。
「お、優希君、そのかばん似合うね。お気に入りかい?」
「はい。この間の誕生日にお母さんに買ってもらったんです。見た目の割にたくさん入るんで、気に入ってるんです。」
優希君はカバンを口元あたりまで持ち上げて、嬉しそうに話してくれた。俺はその様子にほっこりしながら、彼を連れて家を出た。