やまのいちば
お山にかこまれた、ちいさなおうちに、はなこさんというおんなのこがすんでいました。
はなこさんは、うらのお山でどんぐりをひろうのがすきでした。
まいにち、まいにち、お山に入っては、どんぐりをあつめてきます。
ある日、はなこさんは、いつもとすこしちがうばしょにどんぐりをひろいにいこうと、山のなかをあるいていました。
木のあいだをぬけて、くさのトンネルをとおっていくと、とおくから、こえがきこえてきました。
「やすいよーやすいよー」
「しんせんなヤマメだよー」
「とれたてのやまももだよー」
ちかづいてみると、そこには、いちばがひらかれていました。
さかなに、くだものに、みたことないようなきれいな石ころ…
お店には、くまやリスやさるといったどうぶつたちがいて、おきゃくさんも、やっぱりどうぶつたちだったのです。
「きれいねー。」
はなこさんは、石ころをうっているお店のおさるさんにはなしかけました。
おさるさんは、
「そうでしょう、そうでしょう。これは、りゅうがすむといわれてるたきつぼから、いのちがけでとってきたものさ。」
といいました。
「それ、ちょうだい!」
はなこさんはいいました。
おさるさんは、おでこのしわをよせていいました。
「おきゃくさん、どんぐりもってるの?」
はなこさんは、ポケットからどんぐりをだして、
「どんぐりあるからちょうだい!」
といいました。
すると、おさるさんは、はなこさんのちいさな手のひらにのったどんぐりをみて、
「ひーふーよー…たりないねぇ。あと、200こはもってきてもらわないと。」
はなこさんは、いそいでいえにかえると、ありったけのどんぐりをかかえて、おさるさんのおみせにもどってきました。
おさるさんに、たくさんのどんぐりをわたして、きれいな石ころを手にいれました。
そのあとも、まいにち、まいにち、はなこさんはいえのどんぐりをかきあつめて、どうぶつのいちばでたくさんのかいものをしました。
すると、ある日、いちばのまえにクマさんがたっていて、とおせんぼをされました。
はなこさんは、いちばにいけないので、どいてほしいと、くまさんにはなしました。
くまさんは、
「はなこさん、あなたが大量にどんぐりを持ち込んだお陰で、インフレがおこり、山の経済に大きなダメージを与えた。市場に流通するどんぐりは山の長が認可を与えた印があるものだけとし、市場の入場にも制限を加えることとした。」
といいました。
はなこさんは、
「通告なく一方的に変更されることは、利用者の利益を損ねることになるのではないか。また、外貨の流入を止めるだけでは、結果的に自国の経済活動を停滞させ、自ら発展の芽を摘むことになるのでは?」
と、反論しました。
そのご、やまのどうぶつと、はなこさんのつうしょうじょうやくがむすばれ、がいかのもちこみのさいには、いっていのてすうりょうをしはらい、りょうがえをおこなうことで、かへいのりゅうつうりょうをコントロールすることになりました。
これが、のちにいう、「はなこ・くまさんじょうやく」です。
どうぶつたちと、はなこさんは、いつまでもなかよくくらしましたとさ。