表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/15

空を飛ぶ夢


空を飛ぶ夢をみた。

眼下には青い海が広がっている。

陸地は見えない。

延々と、紺碧が続いている。


ピッピッピッピッー、ピッピッピッ…


アラームの音でめざめると、いつもの日常が待っていた。

朝ごはんにパンと目玉焼き、着替えて研究室へ。

コーヒーを淹れて、一服つきながら、新聞を読む。


そのうち、助手が出勤してくる。


彼は無口だ。

滅多に声を出さない。


彼は研究室の中をひととおりチェックし、いつものテーブルに腰掛けた。

机上の端末を起動し、資料の整理を始める。


朝食を片付け、ブラインドを開ければ、もう見慣れてしまった景色。


数多の小惑星の衝突で、この地表はいくつものクレーターに覆われている。

この荒野あれのには、この建物以外には、砂と岩の大地が広がるばかりだ。


外を眺め、周囲に変化がないことを確認して、ラジオをつける。


ノイズの合間に、微かに聞こえる歌声。

海辺の恋を歌った曲のようだ。


机に戻り、書きかけになっていた記録を再開する。


「観察記録、恒星歴4,534,663,059年。観察対象では、『電気』を中心としたエネルギーを用いた文明が定着しつつある。初期段階では、よくあるアプローチだ。最近、一定の波長を持った電磁波に情報を載せて通信する技術を、文化的に使用するのが流行のようだ。彼らは、これを『RADIO』と呼んでいる。こちらでも、簡易的に受信措置を作成し、文化に関する情報収集に役立てている。流れてくる『歌』は多様だが、個人的には、『海』と『恋』を歌った曲に心を惹かれる………」


あの星の大半は液体に覆われている。

これを総括して「海」と呼んでいるようだ。

均質なものではなく、様々な物質が入り混じり、対流している。

ある意味、あれも一つの生物なのかもしれない。


単純に、美しいと思った。

この衛星で観察を始めて、1、2億年ほどで、この星は色づき始めた。

この青と緑に彩られた星を、この足で歩いて探索したこともあった。

時々思う。以前のように、海の上を自由に飛び回れたら…と。


しかし、文明の発展とともに、それも困難になっていった。

彼らは総じて異種族を受け入れることが難しいようだ。


このまま発展を続けていけば、この場所に到達するのも時間の問題かもしれない。

まあ、隠蔽の方法はいくらでもある。


しばらくは、あの「人類」には、会いたくないものだ。


助手がコーヒーを運んできた。

もう、そんな時間か。

その後もルーチンワークをこなし、寝る時間となった。


ブラインドを閉め、ベッドに入る。

目覚まし時計のタイマーは30年後。


そして目を閉じる。

また、あの夢がみられないものか。

そんな期待を抱きながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ