中浜第二異能小隊
タイトル変えました。
なんとなく語感が気になって…。
両脇を鉄の軌道が横たわる。
海からふきつける生臭い風が、汗ばんだ肌にじっとりと絡みつく。
焼けた礫石を踏み締めて歩く。
元のムラには戻らない決意をして、出てきたものの、目的地のヒントがよくわからなさすぎる。
「鉄道・工場・終着駅」
手近なところから片っ端からあたって、もう2年が経とうとしていた。
途中立ち寄ったムラの人たちには、ずいぶん助けられた。
畑仕事、力仕事をして、その分の食料を分けてもらって、また旅にでる。
「あー、あそこのスイカ、おいしかったなー」
生まれたムラでは、なんとか普通に過ごそうと努力はしてきたけど、12年間、いいことなんてなかった。
利用されるか、または敬遠されるか。なんとなくそれがわかってしまうのもキツかった。
物心ついた頃から、これから起こることがなんとなく予測できた。
「予知」とはまた違うのだ。
あくまで「予測」。
1+1と問題を出されたら、「2」と答えるようなものだ。
悪い大人には、賭け事に使われた。
事故を予測した時には、犯人と疑われた。
あるとき、全身に包帯を巻いた旅人が村をおとづれた。
その旅人は言った。
「異能者、か。」
「イノウシャ?」
「そうだね。異能者はお互いに感じ合える。君が異能者なのは間違いない。」
そう言われても。そんな事を言われても、問題が解決するわけではないのはわかった。
しかし、次の言葉で先が見えた。
「鉄道・工場・終着駅」
その旅人は薄暗いゴーグル越しにこちらをじっと見て言った。
「そこを目指すといい。多分、やるべきことが見えるはずだ。」
その時、心は決まった。
次の朝、家に溜めてあった1週間分の食料を鞄に詰めて、隣のムラに行くくらいの装備と心持ちで、ムラを出た。
12年間暮らしたムラだけど、未練はなかった。
そして、今歩いているのが「線路」という道のようなものだ。
昔、ここを「鉄道」と呼ばれるものが通っていたという。
人が急激に減り始めて120年、大量輸送機関は早々にその役目を放棄した。
くだんの旅人の言っていた「鉄道」に辿り着くまでに半年かかった。
そのあとは、ひたすらこの「線路」を辿って、「終着駅」を目指した。
立ち寄った場所で、古い記録を読んだり話を聞いたりして、「工場」「終着駅」に関係しそうな場所を探した。
そうして得た情報から予測し、最も確率の高い行動を選択していった。
それでも、2年かかった。
ある時、夏の日差しに焼かれた線路が、枝分かれして、無数の軌道を描いている場所に辿り着いた。
その線路の先、そこかしこに、鉄製と思われる「箱」が置かれている。
箱の大きさはちょっとした家くらいあった。
来たことはないのに、なんとなく懐かしいような感じがした。
昔、両親と暮らしていたときのような、ホッとする感じ。
不意に目の前の景色が揺らいだ。
と思った瞬間、目の前に二人の人間が立っていた。
一人は、髪を頭の両端で結んだ、いわゆるツインテールの少女。
もう一人は、メガネをかけたショートボブの、少女というには少し年嵩の女性だった。
「ようこそ、中京第二異能旅団へ。」
ツインテールの少女が微笑みながら、手を差し伸べた。
その手を取ったものか、逡巡していると、
「照様、お客様が戸惑っておられます。おそらく、説明が先かと。」
「そうだね。じゃあ、ぼくんちに行こうか。」
奇妙な光景だったかもしれない。
しかし、疑問には思わなかった。これは必然だった。
こうなるべくして、ここを訪れ、ここで役割を与えられる。そう確信していた。
これが、「中浜異能第二小隊」、通称「厨二隊」の隊長「照」と、副隊長「智」との出会いだった。




