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それは変わる世界のような

わたしは頭の中が様々な言葉でグルグルとかき回されているような錯覚を感じた。

だが、その結果出てきた言葉は一つだった。

「九国さんは?」

「ナンバーナインは処分した。彼女は優秀だが君に肩入れしすぎている。保護対象の頃はそれも良かったが、捕獲対象に変わった今、恋愛感情を伴う肉体関係まで持った工作員は邪魔でしかない」

「処分って・・・処分ってなに!」

その直後、一二三さんが私に向かって銃を撃った。

思わず目を閉じたが、痛みは無い。

背後からうめき声が聞こえるので、振り向くと雄大さんが胸を押さえて苦しんでいた。

「雄大さん!」

「動くな、斎木蒼。君は傷つけずに保護したい。『クイーン』の強い希望なのでな」

「一二三さん・・・あなた、誰なの?」

「不要な情報だ」

「そりゃ不要だろう・・・ね。って・・・言うか・・・言えないか」

「黙れ、ラビット」

そう言って一二三さんが銃を再度、雄大さんに向けたが突然ドアの方を向いた。

「しぶとい奴だな・・・」

そこに居たのは、ずっと会いたかった人。

私の心から会いたかった人。

「九国さん・・・」

「お嬢様。大丈夫ですか・・・お怪我は」


「まさか、あそこから歩いてくるとは驚きだ。山岡・・・ホークと共に処分したと思ってたが、私も腕が落ちた」

「いえ、私は幸運でした。お嬢様が守ってくれたのです」

そう言うと九国さんは、胸からペンダントを取り出した。

それは以前私がプレゼントしたペンダントだった。

「お嬢様から頂いたペンダントです。任務で破損してはと思い、防弾加工を施してたのですが、それが幸いしました。山岡さんは・・・気の毒でしたが」

「死にかけが二人居たところで問題ない。予定通り斎木蒼は回収する」

「お嬢様は物ではありません。デューク」

「・・・知っていたのか」

一二三さんが薄く笑った。

「デュークって確か・・・二人の組織の」

以前、聞いたE・A2の偉い人。

顔を誰も見たことが無いという。

「私は雑談をしに来たわけでは無い。行こうか、斎木蒼」

そう言って一二三さんは私の手を取ろうとしたが、その直後九国さんに向かって銃を撃った。

プシュッと言う詰まったような音と共に、九国さんが腰から血を吹き出して倒れ込んだ。

「九国さん!」

「この後に及んで私を撃とうとは・・・そんなに斎木蒼が大切か。E・A2の最高傑作だと思っていたのに、よもや出来損ないとは。脊椎を打ち抜いたので、二度と歩くことは出来ん。銃もナイフも奪った。お前は何も出来ん。裏切り者は本来相応の罰があるのだが、長年の組織への貢献の褒美だ。苦しまないよう、頭を打ち抜き楽に死なせてやる」

私は目の前の事が理解できずに震えていた。

九国さんが歩けない・・・殺される。

私を守ろうとして。

いつでも私を支えてくれた九国さん。

初めて出会ってから、どれだけ支えてもらった?助けてもらった?

今度は私の番。


もし「天の配剤」と言う物があるとするなら、それは今このときだったんだと思う。

撃たれた雄大さんは丁度銃を構えていた。

そして・・・撃たれた。

でも、手を離れた銃は転がって転がって・・・

私の隣にある。

一二三さんは完全に意識が九国さんに向かっている。

私が何も出来ないと思っている。

怖いことには・・・向かっていく。逃げるんじゃ無い。

世界は・・・変わる!

私は、銃を取ると一二三さんに向かって撃った。


だが、当然その銃は撃った衝撃であらぬ方向に弾を飛ばした。

一二三さんにはかすりもしない。

だが・・・一二三さんは全く予想もしない行動に、一瞬意識が私に向かった。

それで充分だった。

九国さんがどこに隠し持っていたのか、ナイフを一本一二三さんに向かって投げた。

それは驚くほど真っ直ぐに一二三さんの喉に刺さった。

「グッ・・・」

一二三さんは喉を押さえて、倒れ込んだ。

今だ!もう一度・・・

「やめておけ・・・斎木・・・蒼。死ぬぞ・・・」

一二三さんの声で思わず動きが止まった。

「これは・・・致命傷では無い。私はお前を打ち抜く程度は・・・出来る。ナンバー・・・ナインも・・・ナイフは・・・ないだろう?」

震えながら銃を構える私に、一二三さんはフッと笑うっと言った。

「お前の爆発力・・・あなどっていたな。私も・・・つくづく鈍ってしまった。一旦・・・引こう・・・また・・・」

一二三さんはそう言うと、よろめきながら壁に近づくと・・・非常ベルを鳴らした。


大きな音が鳴り響き、そちらに気を取られて慌てて一二三さんの方を見ると・・・彼女の姿は霧の様に消えていた。

開いた窓から入る風がカーテンを優しくはためかせていた。

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