感情 喜び
とある家にロボットがいた。
それは、家事手伝いを行う家政婦ロボットだ。
そのロボットは、ご主人様に喜んでほしいと思った。
だから色々な事をして、ご主人様に尽くした。
けれど、ご主人はまったく喜ばなかった。
いつも気難しい顔をしてばかりだった。
会社の経営がうまくいかない。
妻の症状が思わしくない。
子供がグレて、家を出ていってしまった。
そんな事をつぶやきながら、気難しい顔をしてばかりいた。
ご飯をつくっても、ご主人様は喜ばない。
家をピカピカにしても、ご主人様は喜ばない。
服を洗ってもを、ご主人様は喜ばない。
ロボットは己のふがいなさを嘆くしかなかった。
しかし、めげない。
ロボットは、様々な努力でご主人様に喜んでもらおうと考えた。
やがて、会社はうまくいくようになって、妻の病状もよくなって、家出した子供も戻ってきた。
するとご主人は幸せそうに、毎日喜ぶようになった。
ロボットはめげて、悲しんだ。
それらは自分では決して与えられない物ばかりだと気づいてしまったからだ。