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魔眼女とノーブル・ウィッチ  作者: 藤宮はな
おまけ
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おまけ1改造人間マチルダ・マザー7

「ふむふむ。なるほどね。弁明はそれだけかしら。それとも話してない幕の下りた後で、キャッキャうふふと仲睦まじい様があったのかしら?」


 これまで話を聞いて来たユーリの発言がこれですよ。

 ・・・・・・理不尽じゃないかしらね、ホントに。


「今の話聞いてました? 反転可能性への言及だとかさ、戦闘訓練の過酷さとかさ、前者はともかく訓練は今でも続いてるんだよ? 今日だって時間を何とか貰って、せっかくユーリの為に出て来たのに」


「・・・・・・・・・・・・」


 黙ってこちらを見て来る魔女さん。

 な、何も私に疚しいことはないわよ? そんな真剣な目で見つめられたって。


「――ふーん。ま、それだけ疲れた目をしてる以上は、どうやらホントみたいね。っていうか、ソラにそんな嫌らしい根性はないか」


 あんまりな言い草よね、それ。

 でもまぁ、誤解が解けたようで良かった良かった。


「ディストーションと反転した時の可能性、ね・・・・・・」


「何? そんなの今は大丈夫になったんだから、気にしなくてもいいのに。イニュエンドゥは嫌がらせして楽しんでるだけよ」


 そう私が言っても、まだユーリは考え込んでいる。


「あのー・・・・・・ユーリさん?」


 急にハッとした様な顔をして、こちらを見据える。


「え? あ、ああ。そうね。でもそのオルタナティヴっていうのは、魔女の世界では常識でね」


「オルタナティヴ?」


 反射的な鸚鵡返しで、単純明快にそう聞いてしまう。


「反転とはまた違う概念なんだけど、星に愛されたノーブル・ウィッチとも、悪魔と契約して魔女化した人間ともまた違ってね。どこからか生み出されるノーブル・ウィッチ・オルタナティヴっていうのもいるのよ」


 へー。そんな色々と用語を考えるもんね。


「で、ね。これは異界の証明だって魔術師は言って譲らないの。異界の落としだねだっていうワケ。

とにかくこのウィッチについては、謎に包まれてるし、滅多に観測されないもんだから、恐らくよく言われる魔女伝説のように、ひっそりと山奥なんかで暮らしてるんじゃないかって、噂に上って語られる程度なんだけど」


「・・・・・・まるで山姥やまんばみたいね」


「ヤマンバ? 聞いたことないわね」


 首を捻る外国の方。そりゃそうか。

 はて、どう説明したものかな。


「よく昔話なんかで出て来るんだけどね。親切そうなお婆さんに、山で迷って泊めて貰ったら、包丁研いでるのを見ちゃって、それで食べられそうになるっていう。簡単に言うと鬼みたいなものかな」


「――日本の民話ね。魔というのも世界中に様々なタイプがいるから、民俗学者でもない限り、遭遇したのが何か分からないわよね。

――でも、ふーん。ここではそんな鬼の信仰があるんだ?」


「えっとね。鬼の一部ともいえるんだけど、鬼っていうのはもうちょっとまた違ってさ、桃太郎の鬼退治とか、大江山の鬼なんかが有名なんだけど。うーん、どう言えばいいか難しいなぁ」


 っていうか、ノーブル・ウィッチ・オルタナティヴには、だから決まった魔女としての在り方が当て嵌まらないとでもいうんだろうか。


「そう。そうなのよ。ソラってば、いつも上手く言い当てるわね。その魔女については、そう言った方が適確ね。異界の大気に満ちている魔力を使うなんてのも言われてるわね」


 そして思わせぶりなことを言ってから、お預けの様なことを言うユーリ。


「ま、それはともかく反転したオルタナティヴ現象っていうのもあるのよ。これはまた今度話すわ。今日はもう遅いでしょう」


 スマホを見て時計を確認すると、もうこんな時間だ。

 結構ここで話し込んでたもんね。

 実は紅茶をおかわりしたりもして。美味しかったのよ、これが。

 また確かに来たい気もする。


 でもさっきのオルタナティヴ現象は、私凄く気になるんだけどなぁ。


「・・・・・・それにしても、分析が適確よね。ソラが人気があるカリスマなのが分かったわ。――――鏡なのかもね」


 ポツッとそう呟いて、お会計にユーリが向かうので、急いでそれぞれの分は各自で払うように持ちかけた。

 今の言葉を糾す隙間は全くなかったし。


「もう、変な所で子供の癖に律儀ね。・・・・・・分かったわ。じゃあ、そうする。日本ではこういうの、何て言うんだっけ」


「え、割り勘、かな。でも本来の割り勘とも違うのかな。自分の負担は自分でってなんて呼称なんだろう。わかんない・・・・・・」


 少し悩ましい質問だったので、咄嗟のことで私も少し混乱していたようだ。


「ま、いいわ。じゃあまた連絡するわ。時々メッセージとか電話もするかも。とにかくソラはわたしのお気に入りなんだから。時々声も聞かせてね」


 まるで甘い恋人へねだる言葉みたいなのを投げて、それからじゃあねと言い、ユーリは別れ際にあろう事か、私のほっぺたに軽くキスをして去って行ったのだった。


 ――お陰であの後、私がどれだけ悶々として、ユーリを思い描いてたか。

 責めた所でしょうがないけどさ。




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