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なりゆき乱世2~もう一人の梟雄~  作者: 唖鳴蝉
第三部 戦乱の拡大 篇
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幕  間 ダズ・マナガ

()く判らん幸運に助けられはしたが……ともかくトーチ領、イーサ領と、ケイツの策に対して間を置かずに切り返す事はできた……)



 タマン城の自室で、領主ダズ・マナガは思索に沈んでいた。


 マナガ本人の知らないところで、片やフォスカ家、片やショウゼンがそれぞれ自分たちの都合から暗躍した結果、マナガは危地を脱する事ができた。その辺りの事情は解らないが、何か連合軍側(むこうさん)にも都合不都合があったのだろう――とアバウトに解釈していた。今はとにかく結果が大事だ。とは言え……



(今回はどうにか凌いだが、どうせケイツはまた別の場所にちょっかいを出すに決まっている。主導権を握られっ放しというのも業腹(ごうはら)だな……)



 さりとて、こちらから打てる手は限られている。

 東のウォード家にも密書を送ってはいるが、未だに色好い返事は来ない。まぁ、密書を送っているというその事自体が、ケイツへの牽制になっているのだが。



(とは言うが……やはりこのままではジリ貧だな。包囲網に(ほころ)びを作ってやるぐらいの事はしてみせんと、ウォードのお眼鏡にも(かな)わんか……)



 ウォード家とて、何も大義や慈善のためだけでマナガに協力しようというのではない。マナガの救援のためではなく、ケイツの背後を()こうと動く筈だ。なら、それが容易にできる環境くらい整えてやらないと、遠路はるばるここまでやって来る(うま)()が無いだろう。

 では、どこを狙って仕掛けるべきか。包囲陣の中の弱い部分は?



(ふむ……向こうの状況が判らんというのが(まず)いな。……フォスカ領に侵攻した時の戦乱の中で、使い鳥を全て逃がされたのが痛かった……)



 フォスカ家の鳥役人が機転を利かせて、飼っていた使い鳥を(ことごと)く解き放ったのだ。そのせいでマナガは使い鳥を得る事ができず、今に至るも各地の情報を素早く把握できない状況が続いている。使い鳥を育て上げるのは、一朝一夕にできる事ではないのである。



(……解らんと言えば、フォスカの姫の件だな……)



 マナガの思考は、取り逃がして以来ずっと頭の片隅にひっかかっている懸念事項へと流れていった。



(埋蔵金を手にしたらしいと聞いた時には警戒したが……恐らく手勢を集めるのに手間取っているのだろう。今は大人しくしているようだ。ただ……あのじゃじゃ馬が大人しくしているのというのは、どう考えても……)



 なまじ子供の頃から見知っているだけに、あのユーディス姫が沈黙を守っているのを見ると、何か裏があるのではないかと勘繰りたくなる。気懸かりなのは確かだが、現状でそこまで手が回らないのも事実である。何より、今は目先の対応が先だ。



「やはり……これしかないか」



 ようやく決心がついたらしく、(はら)(くく)った様子のマナガは急ぎ部下を呼ぶと、とある作戦を実行するように指示を下した。

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