第十二章 フォスカ家不正規戦~遅延工作~ 3.とある小さな顛末、あるいは幕間
短いです。
「ヤーシア、あまり根を詰め過ぎると逆効果だぞ。マモルも言っていたであろう。ヒ……ヒロコセツがどうとか……」
「だって! あたしが――! あたしは……」
哀しみと悔しさ、怒りと無力感、そういったものが混然となった感情を上手く説明できず、ただ唇を噛んで俯くヤーシア。
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「ただいまー♪」
能天気な挨拶と共にマモルが舞い戻ったのは、幸いにしてヤーシアが疲労骨折を起こす前、マモルとカーシンがシカガ領に潜入してから八日後の事であった。そして……
「次は絶対に蹤いてくからな」
もう三日も経つというのに、相変わらず不機嫌な目付きでこちらを睨んでくるヤーシアに、マモルはほとほと弱り果てていた。
周りの大人たちは生温かい視線を送るだけで、何の手助けもしてくれない。助言と言えば言えそうなものをくれたのはソーマだけであったが、それも――
「手土産の一つや二つ、持ち帰る程度の気は回らなかったのか? 女の機嫌を損ねると、後々まで面倒なのだぞ?」
「一応戦地に行ってたのに、無茶言わないで下さいよ」
――と、斯様に役に立たないものであった。
大体、手土産というならサルドで買った……買わされた勾玉はどうなのか。ちゃっかりとヤーシアが持って行ったが、あれは銀貨で十枚以上……十五枚近くはした筈だ。その払いは全てマモルに廻ってきた。魚の塩漬けはカーシンが銀貨十枚で引き取ってくれた――大喜びされた――が、残りはマモルの持ち出しである。
「大体、そのチビ助はよくって、あたしは駄目っていうのが納得できない」
「キュイッ?」
「いや……イヅナは小さいから魔力の負担にはならないし……」
――という正論など聞く耳持たないという態度である。
病院に見舞いに来た友人が女性問題でぼやいているのを聞いた時には〝リア充爆発しろ〟としか思わなかったが、いざ似たような立場に置かれてみると、これは確かに面倒である。
早くヤーシアの機嫌が直ってくれるのを祈るしかできないマモルであった。




