05,誘ってもらったそうです。
俺は登録を終えた後、ギルドの掲示板に目を遣る。
冒険者、ギルドについての説明があった。
それによると、ギルドはここアルカイラ王国の管轄で、王国ギルドなら何処の支部でも対応可能だそうだ。
それに、冒険者の討伐対象は意思を持たぬ脅威となりうる魔物のようだ。
そして、掲示板に貼ってある依頼を達成すると報酬が貰えるのだそう。
俺は次に掲示板に貼ってある依頼に目を遣った。
「よし、これにしよう。」
その依頼内容は、
《スライム討伐。報酬は1体につき銀貨1枚》
取り敢えず、衣食住困らぬ程度の金がいる。
ならわざわざ高位の魔物を討伐する必要はないだろう。
スライムは意思を持たぬが、農作物を荒らす習性があり、農民は困っているのだそうだ。
「おい、代わりに受付をする者はいないか?」
「は、はい....私がやります。」
「貴様は?」
「このギルドの支部長をやらせてもらっております。」
「ほう。それでだ。私はこの依頼を受ける事にした。」
依頼書を差し出す。
「スライム討伐...最弱の魔物となりますが....貴方様のような圧倒的な強さを誇る方には勿体無いように思いますが.....よろしいので?
「構わない。」
「承知致しました。」
先程、俺が力を示した事が功を奏し、その後のギルドの対応は実に円滑になった。
暫くはこの町を拠点にするか。
他の町のギルドに行ってまた虐げられるのも面倒だ。
俺はギルドを後にした。
「おい、なんだったんだ?あの少女....」
「俺にも何が起きたのかさっぱりわかんねぇよ」
「あの美しい見た目とは裏腹になんと冷徹な」
「危うく俺らも殺されてたぜ?」
「ああ」
「それに第8位階ってどういうこっだ?」
「馬鹿野郎!そんなもん存在する訳ねぇだろ」
「しかし...あんな技見たことあるか?」
「うっ?!......」
などとギルド内部の冒険者たちは怯えながら議論する。
俺はスライムが出現するという村に向かう事にした。
それにしてもこの町は酷いものだ。
いや世界が腐っているのかもしれない。
町では魔物が横柄に奴隷である人間をこき使う。
人間に希望の2文字はない。
あるのは死ぬまで奴隷としてこき使われるという道だけ。
なんとかせねばなぁ。
しかし、俺も自重しなければならないな。
この俺とした事がつい感情的に受付嬢を殺してしまった。
もっと冷静を心掛けてなくては。
「なあ、お前ひょっとして冒険者か?ギルドから出てくるのが見えたから...」
背後から声をかけられる。
そこには人間種の少年二人、少女一人がいた。
どうやら服装からして冒険者のようだ。
それにしても人間で冒険者とは珍しい。
まあ儲かるからという理由でやっていると考えると納得だが。
しかし、今声を掛けてきた三人はどうやら同年代のように見受けられる。
「うん、そうだけど。貴方達も?」
「あ、ああ。そうだよ。けど人間で冒険者ってのは俺たち三人だけだけど」
三人のうちの一人の少年が答える。
「それにしてもまさか私達と同じように、人間で冒険者だなんて珍しいよね?しかも女の子だから私、親近感湧いちゃうなぁ」
と、一人の女が嬉しそうに言う。
「な、なあ、折角だし自己紹介しようぜ!
俺はリーク=ティアンズ。16歳。このパーティのリーダーをやってる。」
「次は私ね。私はローズ=イアン。15歳。よろしくね!」
「俺はラリエル=テアトロ。15歳。よろしくな!」
三人とも快活に言う。
明るい人間とは良いものだ。
こちらの気分も自然と晴れる。
しかし、ローズ。
なかなか可愛い女子だな。
気を取り直して、俺も自己紹介しなくては。
「私はリエラ=ブロッサム。15歳よ。呼び捨てでも構わないわ。三人ともよろしく!」
「リエラちゃんか!可愛い名前だね!」
ローズは嬉々として言う。
「なあ、出会って早々なんだが、俺たちのパーティに入らないか?人数が多い方が楽しいし、何よりも安心だぞ?」
と、パーティのリーダー、リークは持ちかける。
「ああ、それ良いな!」
ラリエルは賛同する。
願っても見ない提案だ。
自分と同じ人間の冒険者、そして同世代というのはなんとも心強い。
俺はその提案をありがたく受け入れる事にした。
「ええ、是非入りたいわ!」
「いやった!」
ローズは喜ぶ。
するとリークが、
「ここで立ち話もなんだし、俺たちの寝ぐらにこないか?」
「ええ。」
こうして、俺たちは寝ぐらへと向かう事になった。
ふぅ、これでなんとか衣食住の住は大丈夫のようだな。
ボロい建物でも私は構わないし。
しかし俺は新たな仲間と衣食住の住を得る事が出来たのだ!
そう心の中で俺は安堵する。
そして俺はこう思ったのだ。
ますますこの世界が楽しくなってきたぞ。
と。
「ところでリエラはいつから冒険者を?」
と、ラリエルは尋ねた。
「今さっき登録したばかりなんだ。」
「そうだったんだ。」
「そういえばギルドの辺りが珍しく静かなんだけど何かあったのかなぁ。何か知ってる?リエラ」
「さ、さあ、なんでだろう、あははは」
「リエラちゃん、私達が声かける前は何処に向かおうとしてたの?」
とローズは聞く。
「スライムの討伐に向かってたんだ。」
「スライム?!」
三人は目を見開き驚いた。
「最弱の魔物なんだけどね、あはは」
私は申し訳なさそうに言うと、リークが口を開いた。
「た、たしかにスライムは最弱の魔物だけど、第2位階だよ!人間種で倒せたのは数少ない人たちだけなんだ。幾ら何でも無茶だよ!」
「え?そうなの?」
「そうだよ!」
ラリエルも口を揃える。
「全然知らないで引き受けちゃった。でも大丈夫!スライムなんて簡単に倒せるから」
「もう、リエラちゃん自信は程々にね」
「うん、気をつけるよ」
それから暫くして三人の寝ぐらに到着した。
寝ぐらは暗い路地を入って行ったところにあった。
正にひっそりとが相応しい。
「ここが俺たちの寝ぐらさ。」
「さ、入って入って!」
「リエラもパーティに加わったからここで生活できるぞ。」
リークは得意げの様だ。
「ありがとう!私実は住むところ無くて....お金も無いの。だからスライム討伐を引き受けたんだけどね。」
「そうだったのか。ま、困った時はお互い様だ」
衣食住の住は確保。
残るは衣食だが....これに関しては金が無いとどうすることも出来ない。
討伐しか道は無いな。
「私、早速討伐に向かおうと思うわ。食事も服もやっぱりお金がないと何も出来ないもの。行くしか無いわ。」
三人は顔を見合わせ、そして頷く。
「しょうがないか!俺たちだって金欠なのは変わらないからな。」と、リーク。
「そうね、それに四人で力合わせたら案外なんとかなるかもしれないわ。」と、ローズ。
「正直、リエラの実力も見たいとこだしな。」とラリエル。
こうして討伐に行くことが決定した。
1話更新する為の時間を短縮するため、1話分の長さはこのぐらいにしようかと思います。
次回もお楽しみに!
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